早春のCena   

Cenaとは、スペイン語で夕食のことである。お気に入りの店がある。オーナー・シェフがいい。親分肌の貫禄、親しく詳しく食材や料理の話を聞かせてくれる。美人の奥様、そして親切なcamarero(ウェーター)君。ワインも美味しい。

今日は佐賀産のホワイト・アスパラが出た。早い早い春の味覚である。昔は、アスパラと言えばホワイトだった。今では珍しい。ワインとともに、丁寧に手をかけたお料理を次々といただいた。しかしどうしたものか、会話が沈む。どこかほろ苦い。ちょうどフキノトウのように。

食事を終えて外へ出ると、雨上がりの夜空に月が輝いていた。春の宵、というには未だ早いが、風の湿り気はもう冬ではない。「Romance de la luna, luna(月のロマンス)」ガルシア・ロルカの詩による歌曲の一節が心に浮かんだ。ロマンチックな題名からは想像もつかない強烈な詩、そしてそれを妖しく奏でるメロディー。そういえば、詩の最後でも、柔らかな風が吹いていた。

この同じ月を彼の国の人も見る、そう思うと、ふと安らぐ。悪戯好きの早春が一瞬心に落書きをした、そんな夜だった。

●日記をお読みくださる方へ:
今回から文体が変わりました。お許しください。
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by Megumi_Tani | 2009-03-08 08:17 | エトセトラ | Comments(2)

Commented by Ancla at 2009-03-08 13:17 x
確かに文体が変わったなぁと思いつつ読み進んでいたら、そのお断りが最後にありました。
「今回から」ということはこれからもこのような文体、つまり、ちょっと堅いけれども、叙情的でまるで詩を読んでもいるかのような…。
芸術家らしくて良いかも知れませんね。
Commented by megumi at 2009-03-08 21:38 x
日記となると、この文体でしか自分の頭が回転しないことが判明しました。たおやかな文章が書けない⇒生来の、荒っぽい気性がバレてしまいますね。手紙やお知らせの時には、なぜか、ですます体が出てきます。今後も混在が予想されます。ご容赦の上、ご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

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