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カテゴリ:講座/セミナー( 116 )   

毎日メディアカフェ『わが心のアランフェス』   

今年も『毎日メディアカフェ』に登壇させていただきます。アットホームなサロンで、様々な角度からスペイン歌曲の魅力に迫る企画。光栄にも5回め!の登壇です。

今回のテーマは、今年没後20年を迎えた作曲家、ロドリーゴ。拙リサイタルでも大人気の「わがアランフェス」から、日本ではほとんど知られていない歌曲、ユニークな歌まで、ロドリーゴ歌曲作品の世界を音と映像でご堪能いただきます。
会場は、毎日新聞東京本社(地下鉄東西線・竹橋駅直結)、入場無料。ただし、事前のお申し込みが必要です。詳細は、下記サイトをご覧ください。ご来場をお待ちしています!

日時:2019年10月29日(火)18:30~20:00
場所:毎日新聞東京本社(地下鉄東西線・竹橋駅直結)1F MOTTAINAI STATION
入場無料(要お申込み)

これまでの『毎日メディアカフェ』の様子は、こちらからどうぞ。

第27回リサイタル『スペイン浪漫IV』関連ブログより




by Megumi_Tani | 2019-09-14 21:21 | 講座/セミナー | Comments(0)

第2期 連続講座「声の力を学ぶ」第6回   

元NHKアナウンサー室長山根基世さんが主宰される「第2期『声の力を学ぶ』連続講座
第6回を聴講させていただいた。
★第1期のレポートはこちら ⇒ 第1期『声の力を学ぶ』連続講座

今回の講師は、様々なメディアで大活躍されている精神科医、香山リカ先生。「声が出なくなるとき-精神医療の現場から」と題し、精神科医療とは何か?診断、治療はどのように行われるのか?「声」が出なくなるのはどんなときか?「声」を失った人にどう向き合うか?等々について、ざっくばらんに分かりやすくお話しくださった。

精神科医療は、診断→治療という意味では他の科の医療と同じだ。しかし、診断を絞る際に使う客観的手段(血液検査、レントゲン、CT、 etc)、客観的数字がほぼ存在しない。それらの代わりに、精神科医は、患者の全体(言葉、声、身振り、服装など)を観察し、カウンセリング的な話をしながら、手探りで診断を付けていく。診断が付き、薬服用の指示が出ても、患者の中にはそもそも病識が無く、それを受け入れない人もいる。本人が困っていなくても周囲が困っているケースもある。これらも精神科医療の特徴だ。

精神科医に求められる態度の基本は「傾聴、受容、共感」であり、「ロジャーズの三原則」が名高い。相手の話に肯定的関心を持ち、相手の話を評価、選別せず、相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。ただし相手のみならず、自分自身に対しても真摯でなければならない。分からないことを分からないままにしておいたり、嘘をついてまで相手に合わせてはいけない。香山先生の経験では、ロジャーズの面接を行い、ある程度「声」に出して語ると、患者さんの7~8割は症状が改善するそうだ。ここで「声」、「言葉」の力が発揮される。

近年、「共感」における「バウンダリー(心の境界線)」の重要性が指摘されている。共感は感情労働であり、疲労を伴う。共感し過ぎることで疲労は蓄積し、相手ではなくこちらが甚大なストレスを受けることになるからだ。

心因性失声-声が出なくなること。原因は分からないそうだ。声だけではなく心因性とされる病気はほかにも沢山ある。これらは、身体の機能を失うほどの症状、我が身を賭してまでも何かを訴えている症状、と捉えられる。その症状が起きている理由を周囲が認め、理解することが肝要だ。

最近は、インスタグラムに代表されるように映像の力が上がり、言葉の力が落ちている。プロセスのあるもの、理解に努力を要するものが疎まれ、時間をかけることの大切さが忘れられかけている。生身の体を持った存在としての人間をもっと自覚しなければならない。講座で学ばれている方々は、生の声の魅力で相手を巻き込み理解を深める「朗読」をぜひ続けていただきたい、と、結ばれた。

先生のトークはどこまでも軽やか。身近な例を次々と挙げ、ユーモアを交え、そうじゃないですか!そうですよねぇ!と相槌を促す。いつの間にか、会場全体がフムフムと共感していた。

「声の力」は「心の力」だ。プロセスを大切に、丁寧に時間をかけ、心を尽くした歌を歌いたい、と、あらためて思う。

by Megumi_Tani | 2019-09-13 23:55 | 講座/セミナー | Comments(0)

一日講座『スペイン語で「アマポーラ」を歌おう』   

9月に入りました。
一日講座『スペイン語で「アマポーラ」を歌おう♪』のご案内です。
日時:10月3日(木)13時~15時30分
場所:NHK文化センター川越教室

皆様おなじみの「アマポーラ」をスペイン語でお稽古するほか、歌の合間には、簡単なスペイン語でおしゃべりしましょう!初めてお邪魔する川越。楽しみにしています。
詳細、お申し込みは、下記ページからどうぞ。
スペイン語で「アマポーラ」を歌おう♪
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by Megumi_Tani | 2019-09-02 11:54 | 講座/セミナー | Comments(0)

第2期 連続講座「声の力を学ぶ」第5回   

元NHKアナウンサー室長山根基世さんが主宰される「第2期『声の力を学ぶ』連続講座
第5回を聴講させていただいた。
★第1期のレポートはこちら ⇒ 第1期『声の力を学ぶ』連続講座

今回の講師は、法相宗大本山興福寺貫主、帝塚山大学特別客員教授の多川俊映先生。
「声-仏教の立場から-」と題し、唯識仏教の歴史、教え、末那識と阿頼耶識、仏教における聞くこと-聞法-の意味などについてお話しくださった。

昨今、仏教音楽がちょっとしたブームだ。声明のコンサートが開かれたり、チベット仏教の勤行のCDが売られたりしている。本来、声明は捧げられるもの。コンサートにはちょっと違和感がある、と、仰られた。声明の「明」とは、インドでは学問の意。明には五つのカテゴリー(声明・工巧明・医明・内明・因明)がある。

唯識仏教は、4世紀~5世紀頃、インドで成立した大乗仏教のひとつであり、唯識とは、あらゆることを心の要素に還元する考え方である。インドへ渡った玄奘三蔵(西遊記の三蔵法師!)が中国に持ち帰り、7世紀~8世紀頃、遣唐使によって日本にも伝えられた。

お釈迦様に近い時代の仏教における心の構造は「六識説(眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識)」とされていたが、唯識仏教においては、六識説に「末那識」「阿頼耶識」を加えた「八識説」とされた。阿頼耶識の阿頼耶:アラヤとは、アーラヤ(持っている・蔵・倉庫)という言葉を音写したもの。ちなみに、ヒマ(雪)+アーラヤ(持っている)=ヒマアラーヤ ⇒ ヒマラヤという山の名前が生まれたそうだ。

末那識とは、意識下における自己中心性、覚醒している心の裏側、自己愛の囁きであり、阿頼耶識を不変な自我と誤認する。一方、阿頼耶識とは、種子(しゅうじ):行動情報、有根身(うこんじん):肉体、器世間(きせけん):自然・環境を認識対象とする深層心理、深層にある自己基盤である。人間のあらゆる行為は阿頼耶識に送りこまれる。

仏教では、古来、「見仏聞法(けんぶつもんぽう)」「声聞(せいもん)」「聞持(もんじ)」「聞思修慧(もんししゅうえ)」に大きな意味があるとされてきた。お釈迦様に会い(見仏)、その声と教えを聞き(聞法・声聞)、聞く耳を持つ(聞持)。すなわち、聞き、思いを巡らせ、実践を修め、智慧を得る(聞思修慧)。「聞く」ことが智慧になる。説く人も聞く人がいるから説くことが出来る。聞くこと:聞法の大いなる意味。

と、ここまで書いてみたが、深遠なる仏教の教えを私の拙い文章で纏めきれるはずもない。より学びたい方は、多川貫主様の多数のご著書をお読みいただきたい。

講演終了後、山根さんがより身近な視点から質問を繰り出された。

見仏聞法(けんぶつもんぽう)とは、ただひたすら「聞く」ことが修行、という意味だそうだ。とにかく聞く、聞いて大事なことを記憶する。確かに、日常のなかで、話の聞けない人がいる。こちらが何か言いかけると、あ~!それはこうでああで、ああなってこうなって、と、こちらの話を最後まで聞かず、内容がずれていることにも気づかず、夢中で自説を述べ立てる。知ったかぶりをしたいのか?質問されるのが恐いのか?

大勢の弟子がお釈迦様のお話を聞いた。ご説法の様子は師子吼(ししく)と表現される。では、そのお声そのものはどんな感じだったのだろう?低音の美声?明るく澄んだ声?まさかのハスキーボイス?以前、とあるスポーツ選手が外国チームに移籍してほどなくその国の言葉でインタビューに答えるのを聞き、感心したことがある。ものすごく勉強したんだろうなぁ。偉いなぁ。ただ、彼の声は意外なほど甲高くカラカラしていた。これでグッとくる深い声なら、すぐにファンになったのに!(笑)

「法に依って人に依らず」という言葉がある。しかし教えは人から人へ伝えられるもの。人から人へ伝えるには「声」が必要である。と、見事に「声」に着地して、第5回が終了した。

★「声」を基軸とした多彩なテーマ、多士済々の講師陣、稀に見る貴重な講座です。
今期から、毎回、単発受講生の募集も行われています。
ご興味のある方は、ぜひこちらのページにアクセスしてみてください。
声の力を学ぶ 連続講座

2018年10月7日:再建された興福寺「中金堂」の落慶法要



by Megumi_Tani | 2019-08-09 20:45 | 講座/セミナー | Comments(0)

第2期 連続講座「声の力を学ぶ」第4回   

元NHKアナウンサー室長山根基世さんが主宰される「第2期『声の力を学ぶ』連続講座
第4回を聴講させていただいた。
★第1期のレポートはこちら ⇒ 第1期『声の力を学ぶ』連続講座

今回の講師は、現代日本を代表する作曲家のひとり、細川俊夫先生。「声の力-私の音楽において-」と題し、ご自身の音楽における「声」、日本の伝統音楽における「声」、声のカリグラフィー(書)、音のいのちとしての「声」、始原の「声(歌)」等々、どこまでも「声」を求め「声」を究める先生の音楽世界を、多彩な音と映像を交えてご紹介くださった。

18世紀から19世紀にかけて、調性のある平均律の音楽:構築された音楽が世界を制覇し、世界中の民俗音楽は衰退してしまった。20世紀になると、それまで表現できなかったものを表現しようとする動きが起き、西洋音楽は無調の時代を迎える。それから約百年。先生がベルリンに留学された1976年当時、西洋の音楽はすでに行き詰まり、民俗音楽が力を盛り返していた。そんな時世に、日本を遠く離れたベルリンで能を鑑賞し、お琴を聴き、先生は、初めて日本の伝統音楽を「音楽」として聴くことが出来たという。

日本固有の文化を捨て去り、平均律による構築された音楽を絶対の基とした、わずか150年ほどの、日本独自の、極めて特殊な西洋音楽の歴史。その根底には、圧倒的な西洋崇拝がある。本家本元の西洋で、その絶対の基であるはずの構築された音楽がいかに行き詰ろうと、日本の西洋崇拝は厳として揺るがない。しかしそれでも、1960年代に入ると、ようやく日本(東洋)独自の音楽が生まれ、西洋にもそれらを受け入れる素地が出来た。第一世代の旗手は、武満徹、尹伊桑だ。二人に続く第二世代の作曲家として、先生は、自分の声(音楽)、自分の音楽の根源への探求を続けられている。

真言声明との出会いから創案された声のカリグラフィー(書)。美しい。ひとつの音がいのちを持ち、音そのものとして存在する世界。余白:間があるから声が在り、声が在るから間:余白がある。始まりも終わりもない世界。混沌開基の一点。

「恋歌」(1986)は、まさに声とギターのカリグラフィーによる作品。画布にみたてた空間に揺れるギター、寄り添う声。両者は二つでありながらひとつになり、彼方へと流れていく。言葉は発音することによっていのちを得、歌うことでより躍動し、やがて混沌開基の一点へ向かう。

先生は、楽器を声の延長と定義される。バスフルートによる「息の歌」は、音になる以前の息、精霊としての息、声の根源にあるものとしての息が奏でる無言歌、言葉なき歌。

武満徹へのレクイエムとして書かれた「歌う木」では、自然の音、自然い近づく音を歌うことで自然の一部になる、というかつて日本の音楽が理想としたものが表現された。「すでに在るもの:音の河を実現することが作曲だ」という武満の言葉が紹介されている。

オペラ「二人静」では、現代の悲劇の象徴としての難民ヘレンと、過去の悲劇の象徴としての静御前が、時空を超えてひとつになる。能舞台の橋掛かりが意味するように、目に見える世界と見えない世界、耳に聞こえる世界と聞こえない世界、とどのつまり、あの世とこの世は、実は繋がっている。歌うことによって声が世界に溶けていく。それは自我の溶解、魂が浄化されていく過程。

自分の「声」、自分を超えたより深い「声」、声と言葉の生まれる根源の場所から生まれてくる野性的な始原の声(歌)、始原の宇宙への憧れ…。宇宙と自分の声が結びついている、そんな音楽を書きたい、と結ばれ、講義が終了した。

僭越ながら、最初から最後まで、いたく共感して拝聴した。声のカリグラフィーは、私にとってのヴォカリーズそのものであり、「息の歌」には、自分の体内をのぞきこんでいるようなリアルな感覚があった。「宇宙の気、始原の気、その「気」が地上に顕現した時、「声」になる。宇宙の気を表現するために「声」は存在するのではないか?」とのお言葉には、思わず膝を打つ思い。「声」は、「歌」は、メディアになる。聖き祈りにもなれば、悪魔の囁きにもなる。

静かに、穏やかに、深い憧憬を込めて語られる「声」そして「歌」…。
ふと思う。音楽家には、大別して二つのタイプがあるのかもしれない。より広く外へ向かって音楽をする人と、より深く内奥を見つめて音楽をする人と。いや、これは音楽家に限らない。人としての生き方の別なのかもしれない。内なる高みを求める心は、やがて天を仰ぐ。モンポウが十字架のヨハネの詩を好み、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスが聖テレサを愛したように。

こんなリンクを見つけました。
『細川俊夫 音楽を語る』 人は花、人は絃、人は時

日本初演された細川先生のオペラ「松風」に感銘を受けた山根基世さんが、ぜひ!と招聘され、今回の登壇が実現したとのこと。メインの受講者である朗読を学ぶ皆さんのみならず、歌い手にとっても垂涎もの。極めて貴重な時間でした。ありがとうございます。

演奏会形式によるオペラ「二人静」


by Megumi_Tani | 2019-07-13 23:37 | 講座/セミナー | Comments(0)

第2期 連続講座「声の力を学ぶ」第3回   

元NHKアナウンサー室長山根基世さんが主宰される「第2期『声の力を学ぶ』連続講座
第3回を聴講させていただいた。
★第1期のレポートはこちら ⇒ 第1期『声の力を学ぶ』連続講座

今回の講師は、今を時めく声優ビジネス界の雄、南沢道義氏。「声優ビジネスの未来~声優100年を目指して~」と題し、声優の歴史、マーケットへ向けたプロデュース、現在の状況、将来への取り組みなど、若者の憧れの職業「声優」について、貴重かつリアルなお話をお聞かせくださった。

洋画や海外ドラマでも声優さんはお馴染みだ。あの俳優さんの声はあの声優さん!とお名前が浮かぶ方も多い。「アフレコ」とは?声優の仕事とはどのように進められるのか?あたかも大工さんが一軒の家を建てるようにコツコツと細かい作業を積み重ねていく、と表現されたそのプロセスは、規模も市場もまるで比較にはならないものの、一年、一年半をかけてコツコツとリサイタルを創り上げていく私達の作業とどこか似ている。

声優業の歴史は、1.誕生期、2.成長期、3.第2次成長期、4.第3次成長期に分類されるそうだ。誕生期における声優は、音響効果のひとつとしか捉えられていなかった。成長期を迎えた1970年代後半から1980年代後半にキャラソングが誕生。作品ごとにCDアルバムが展開されるようになった。第2次成長期になると声優業はマルチ化、女性声優ブームが訪れ、ビジュアルも売りの要素として重要視されるようになった。そして現在は第3次成長期。ネット文化、2.5次元舞台、スマホゲーム、バーチャルYoutuberの出現等々により、声優界は人気アイドル百花繚乱。まさに破竹の勢いで発展を続けている。

新人さん発掘のキーワードは、ずばり「金(カネ)になる声」とのこと。オーディションで原石と思われる若者を見つけ出し、声楽、ダンス、日舞、空手等レッスンを施し、適切な時期に売り込みをかける。今は声優が同時にアイドルでもある時代。最初からアイドルとして仕掛ける手法もあるそうな。

”復古創新”の精神のもと、2015年には世界初の声優ミュージアムをオープンされた。ベテラン声優さんが所蔵する台本等の貴重な資料から人気の若手の紹介まで、声優の「これまで」と「これから」が展示されている。平成30年には、声優界の未来を見据え、デジタルボイスパレットを設立。音声合成技術の活用、発声権の確立など、声優100年:声優長寿社会を目指した取り組みを始められた。

そもそも、アニメにもアニソンにも疎い私。その業界の最先端のお話、明瞭明確なスピード感に、ただただビックリ。本当に同じ2019年、同じ令和元年を生きているの???
そして、デジタルボイスか…。私達、クラシックの歌い手は、基本的にナマ声で歌う。もっともアナログな世界で声を感じ、声を探り、声を磨き、声で悩み、まだもっと何かあると悪戦苦闘。ホールの響きに身を委ね、その日その時その瞬間の己の声に賭け、作品をよりよい形でこの世に顕現させるべく腐心する。そんな在り方しか知らないところがある。

クラシック。古典的、とも訳せるこの言葉がやけに身に沁みた午後。

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by Megumi_Tani | 2019-06-15 00:48 | 講座/セミナー | Comments(0)

第2期 連続講座「声の力を学ぶ」第2回   

元NHKアナウンサー室長山根基世さんが主宰される「第2期『声の力を学ぶ』連続講座
第2回を聴講させていただいた。
★第1期のレポートはこちら ⇒ 第1期『声の力を学ぶ』連続講座

今回の講師は、作家の阿刀田高先生。「耳で聞く小説、目で読む小説」と題し、小説とは? 読書とは?図書館とは?朗読とは?ベストセラーとは?推理小説とは?モチーフとは?漫画と小説の違いとは?etc,etc。多岐にわたる内容を自由にユーモアたっぷりに語ってくださった。

先生は子どもの頃、ご家族でよく「ことば遊び」をされたそうだ。「オランウータン」という名前を覚えたのは、その「ことば遊び」の中で「オ」がつく動物の名前をいち早く言うためでした、と、懐かしそうに語っておられた。「ことば遊び」への関心が「言葉への関心」となり、やがて読書へ心が向かい、自然に読書好きになられたそうだ。

「自分の好きな言葉」を見つけることの大切さもお話くださった。ただ単に耳で聞いて意味が分かるだけではなく、その言葉を話せる、使える、つまり自ら活用できる言葉にすることが鍵だ。先生のお好きな言葉として「畢竟」「つきづきしい」「一期一会」「粛々」を挙げられた。「畢竟」は中勘助『銀の匙』から、とのこと。そういえば…三十数年前、単身スペインに渡る際、「あちらで日本語が恋しくなったら読んでください」と、とある知人がプレゼントしてくれたのが『銀の匙』だった。バルセロナのアパルタメントの部屋で何度も読んだっけ…。

“小説とは何か” についてのアフォリズムとして、小林信彦(谷崎潤一郎の言葉の引用)、伊藤整、坪内逍遥、山口瞳らによる箴言をご紹介くださった。ほぼすべてが ”歌とは何か” に置き換えられるようで興味深い。ちなみに、伊藤整は、北海道の母校の大先輩だ。

最後に、朗読の際の句読点の扱いについて、受講生さんから質問があった。「同じ作品でも ”文字として書かれたもの” と ”朗読されるもの” とでは、その在り方が違う。朗読する者は、作家に一定の尊敬を保ちながら、自ら工夫を凝らす必要がある」と阿刀田先生。奥様で朗読家の阿刀田慶子 氏が「文章の心をすくい取ること、自分の朗読を見つけることが大切です」と纏められた。

歌にも似たようなことが言える。” 書かれたもの ” と ” 演奏されるもの ” としての楽譜の在り方には違いがある。書かれたものとしての楽譜にいかに命を吹き込み、その作品にふさわしい最良の姿でこの世に顕現させるか。歌い手は、作曲家、作詞家に最大の敬意を保ちながら、ああでもない、こうでもない、と、試行錯誤を重ねることになる。おそらくは、その始まりも終わりも分からないプロセスの中から ”自分の歌” が形成されていくのだろう。「メグミはメグミの歌を歌え」と、バルセロナの師によく言われたものだ。まさにアフォリズム、金言だったなぁ…。

何とも粋なお話しぶり!
「耳で聞くエッセイ」を楽しませていただいた上質な時間でした。

こんな動画を見つけました。



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チケット好評発売中!
第27回谷めぐみスペイン歌曲リサイタル
『スペイン浪漫Ⅳ』
2019年5月19日(日)午後2時開演
会場:Hakuju Hall
詳細は、HPをご覧ください⇒スペイン浪漫Ⅳ
ご来聴をお待ちしています!

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by Megumi_Tani | 2019-05-10 22:33 | 講座/セミナー | Comments(0)

第2期 連続講座「声の力を学ぶ」第1回   

元NHKアナウンサー室長山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第2期がスタートしました。「声」をキーワードに、毎回多彩な講師が広くて深い話題を楽しく分かり易く語ってくださるこの講座。脳も心も刺激され興味が尽きません。今期も引き続きレポートをお届けしてまいります。
第1期のレポートはこちら ⇒ 『連続講座「声の力を学ぶ」

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第2期第1回の講師は、東大大学院教授、言語脳科学者の酒井邦嘉先生講座全体のコーディネイトを務めていらっしゃる酒井先生と山根さんとの対話形式で、まず初年度の各回を振り返り、続いて「脳から心、そして声や言葉をめぐって」をテーマに、お二人の楽しいトークが繰り広げられた。

ノーム・チョムスキーというお名前をご存知だろうか?文系のものとされていた言語学をサイエンスの対象とし、人間の言葉は自然科学で扱えることを世界で初めて示した方だ。東大で物理を学び、理系の道を歩んでいた酒井邦嘉先生の人生を大きく転換させた方でもある。チョムスキー理論がもたらしたコペルニクス的発想の転換、人間の脳には「生得的普遍文法」が備わっていること、「生得説」と「学習説」の違い、あらゆる人間の言語に共通する「木構造(tree structure)」etc。言語そのものの根幹に関わるお話を酒井先生が分かり易く解説してくださった。

チョムスキー?言語学がサイエンス?普遍文法?木構造?…と思われた方は、酒井先生の近著『チョムスキーと言語脳科学』をぜひどうぞ。私も含め、門外漢、ド素人の人間でも理解できるよう、易しく、読みやすく、書かれています。
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次々と繰り出される山根さんの質問に酒井先生がユーモアたっぷりに即答!そのお答えにまた山根さんが絶妙のお返し!くつろいだ実に楽しい時間…。講座の途中で気が付いた。お二人の声がリラックスしている。お互いへの信頼、安心のようなものが声に溢れているから、自ずと場が和み、参加者も知らず知らずのうちに柔らかい気持ちになる。これぞまさに声の力!今期も楽しみです。

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チケット好評発売中!
第27回谷めぐみスペイン歌曲リサイタル
『スペイン浪漫Ⅳ』
2019年5月19日(日)午後2時開演
会場:Hakuju Hall
詳細は、HPをご覧ください⇒スペイン浪漫Ⅳ
ご来聴をお待ちしています!

by Megumi_Tani | 2019-04-12 21:51 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第12回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第12回を聴講させていただいた。

今回の講師は、京都大学大学院 人間・環境学研究科教授、生物言語学・進化言語学者の藤田耕司先生。「言語と声と音楽:その進化的関係を探る」と題し、人類だけがもつ能力といわれる言語と音楽について、他の動物との比較、研究を交えながら、お話しくださった。

言語とは、現生人類だけが持つ普遍的な形質である。言語は単一の能力ではなく、複数の下位機能の結合として成立する複合的能力だ。言語と音楽との共通点は、人類固有かつ普遍的であること、そして階層構造をもつことである。

動物ゲンゴ(あえてカタカナ)と人間言語の比較に関しては、チンパンジー、イルカ、プレリードッグ、鳥、ミツバチ、ベルベットモンキー等々の興味深い写真、動画をご紹介くださった。踊る大捜査線ならぬ踊るミツバチ君のダンス言語には、「今、ここ」に限定されない超越性があり、これは人間言語に近いものだそうだ。プレリードッグがもつ4種類の警戒コールには、対象物の大きさ、形、色の情報に加えて品詞らしきものも含まれているという。鳥は、家畜化による淘汰圧の緩和によって、さえずりに文法をもつようになった。つまり人間に飼われるようになって住居と食料の心配が無くなり、生きることが楽になった結果、さえずりに文法をもつ余裕が出来た、というわけだ。リズムに乗って歌を歌う小鳥ちゃん、音楽に合わせてチャーミングに踊る小鳥ちゃんの動画に、会場から歓声!

しかし、動物ゲンゴが依存しているのは(せいぜい)語順である。他方、人間言語は、階層構造に依存している。人間だけが階層的文法をもち、階層的言語構造は人間の認知作用を司る。汎用階層構造処理能力が、運動、言語、音楽に分かれたのではないか。動物ゲンゴでは命題内容と情動負荷が未分離だが、人間言語では情動と命題が分離した。階層文法をもつ言語が命題内容を、音楽が情動を担うようになった。音声は、階層構造ゆえに生じる曖昧性を解消するために重要な役割を果たしている。

現代の言語コミュニケーションにおける問題点として、情動や共感への過度の依存が挙げられる。人間は領域横断的なあらゆるものを組み合わせる豊かな想像力と創造性を唯一の武器として生き抜いてきた。言語も音楽もその組み合わせによる産物である。

と、極めて文系頭の私が、極めて大雑把に、極めて簡略に纏めさせていただいた(^^;;  
お読みになってお分かりの通り、漢字熟語続出!素人には触れ難い最先端の研究の端っこの端っこをほんのちょっぴり垣間見た思いがした。

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さて、昨年4月にスタートした「声の力」連続講座は、今回で丸一年のカリキュラム終了。在って当然、しかしよく考えると不思議な存在である「声」について、豪華、多彩かつ個性豊かな講師の先生達が様々な角度から熱く語ってくださった。山根基世さんの魅力的なお人柄、絶妙のリード、遠方からも駆けつけていらっしゃる熱心な受講生さん達…。会場の雰囲気も温かい。おかげ様で、私も大いに刺激を受け、楽しく学ばせていただいた。
誠に僭越ながら、第4回には講師の末席を汚させていただいたことにも感謝したい。ありがとうございました。

★今年度の全講座レポートは、こちらのページでご覧になれます。

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第27回谷めぐみスペイン歌曲リサイタル『スペイン浪漫Ⅳ』
2019年5月19日(日)午後2時開演
会場:Hakuju Hall
チケット好評発売中!
プログラム、曲目紹介、チケットご購入等々、
詳細は、HPをご覧ください⇒『スペイン浪漫Ⅳ
ご来聴をお待ちしています♪



by Megumi_Tani | 2019-03-15 22:29 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第11回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第11回を聴講させていただいた。

今回の講師は、神経内科医の岩田誠先生。「声が言葉になるまで-知性の誕生ー」と題し、動物の進化と声と言葉との関係、芸術と声と言葉との関係、知性の誕生と声と言葉との関係etcについて、ユーモアを交えて、たっぷりお話しくださった。

動物の進化史上、自ら子育てをする鳥類、哺乳類に至って、初めて、声が必要になった。ネアンデルタール人は声を言葉に出来ていた。死者を葬ったが副葬品はない。石器を作ったが骨器はない。道具は単純なハンド・アックスで、これが何十万年もの間変わらなかった。特筆すべきは、障害者介護をしていた痕跡があることだ。と、ここで突然、スペインの地名が出て来た。「Sim de Huesos」その名も「骨の穴」!ここで見つかった43万年前のネアンデルタール人の頭蓋には、仲間殺しをした痕があるという。ハァ…史上初の仲間殺しが証明された地がスペインとは(^^;;

障害者介護と仲間殺し、つまり、利他行為と故殺。いずれもヒト族以外の動物にはほとんど見られない行為だ。種の保存という進化の原則からみればマイナス効果を及ぼすこの両行為を、なぜヒト族は行うのか?そこには、声と言葉による情動的コミュニケーションが関与しているのではないか?

言語機能の本質は模倣にある。ヒトの赤ちゃんは生後数日で母親の声を認識し、4か月児になると母親のオウム返しを模倣する。いくつものプロセスを経て、概ね2歳で二語文での発話が可能になる。このような言語能力の発達は描画能力の発達と深い関係がある。言葉の発達とともに描画の対象が広がりをみせ、文章能力の発達とともに状況図を描くことが出来るようになり、やがて、概念的リアリズムを以って空間的位置関係を正確に描くようになる。

では、ヒトはいつから描き始めたのか?と、ここで再びスペイン登場!(故殺の痕跡だけじゃなくてよかった(^^;; )最古とされるのは、4万800年前のエル・カスティ-ジョ洞窟壁画だ。ほかにもスペインのアルタミラエル・カスティ-ジョラ・パシエガ、フランスのショーヴェ等に、貴重な洞窟壁画が残されている。

「洞窟」は日常生活の場ではなかった。ヒトは、非日常の特別な場としての洞窟に入り、力強い大型動物や呪術師と思しきヒトの姿を描いた。絵が描かれた洞窟は音響効果が高く、特にバリトンやバスの声がよく響く。骨製、木製の楽器も作られた。暗い洞窟、仄かな明かり、地鳴りのように低く響く声、素朴な楽器の音色、呪い舞うヒト…。絵画洞窟の中では、総合アートによる「祈り」が行われていた。芸術、すなわち絵画、音楽、舞踏、歌謡等々は、ヒトの脳のみに可能な活動だ。芸術行為とは「祈り」の表現だったのではないか?芸術と医療と祈りはひとつだったのではないか?

最後に「声が言葉になって可能になったこと」として、以下の5つを挙げられた。
1.過去の記憶と未来の展望
2.不可解な現象の説明
3.社会的な関係の分析
4.自己存在理由の認識、確認
5.他者の存在の理由づけ

声というものの原初から芸術、知性の誕生まで!
とても興味深く学ばせていただきました。

★「声の力講座」第1回から第10回のレポートは、こちらのページでご覧になれます。

エル・カスティ-ジョ洞窟壁画



第27回谷めぐみスペイン歌曲リサイタル『スペイン浪漫』
2019年5月19日(日)午後2時開演
会場:Hakuju Hall
チケット好評発売中!
詳細は、HPをご覧ください⇒『スペイン浪漫Ⅳ
ご来聴をお待ちしています♪


by Megumi_Tani | 2019-02-15 22:51 | 講座/セミナー | Comments(0)