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カテゴリ:スペイン歌曲( 69 )   

2019年7月備忘録   

今年の梅雨は長かった。来る日も来る日も曇天、白い空。陽の光がこんなに恋しかったことはない。日照不足でグニャリと曲がったキューリを眺めながら、人間も生き物だから、あまりにも日照不足が続くと調子が狂うのでは?と、真面目に考えた。お天道様とはよく言ったものだ。
梅雨が明けた途端、猛暑襲来149.png ここ数日、東京と札幌の気温に差がないことにもビックリ\(◎o◎)/!!北海道のほとんどの家庭にはクーラーがない。厳寒の冬に備えて気密性高く建てられた家での熱帯夜…。これは東京の夜より大変だ。ヨーロッパも暑い。バルセロナの友人から「焦げています」とメールが来ていた。来年の今頃は東京オリンピックの真っ最中。最新の暑さ対策が様々報道されているけれど、私は個人的には、あえて何故この時期に?の思いが、今もって拭えない。「バルセロナオリンピックから26年

ちょうど梅雨明けの頃、嬉しい映像に遭遇した。ひとつは、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスとパウ・カザルスとの親交を採り上げたもの。

もうひとつは、1992年、バルセロナのリセウ劇場で開かれたビクトリア・デ・ロス・アンへレスの記念すべきリサイタルを採り上げた番組。このリサイタル、Youtubeにはずい分前にアップされていたのだが、今回の番組では、開演前の様子やビクトリアへのインタビューも視られる。ピアノは、我が師マヌエル・ガルシア・モランテ。

日付が変わって、もう8月1日。北海道育ちの私は、基本的に暑さが苦手だ。しかし長い長い梅雨に心底ウンザリしたので、今夏は、たとえ猛暑でも酷暑でも炎暑でも厳暑でも元気に青空を見上げて過ごそう、などと儚い目標を立てている。
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リサイタル「スペイン浪漫Ⅳ」に寄せて(画:Chieko. K)




by Megumi_Tani | 2019-08-01 01:19 | スペイン歌曲 | Comments(0)

ありがとう!マリア・バーヨ   

先日ご紹介したスペインの名ソプラノ、マリア・バーヨ来日の一週間。

リサイタル第1夜《スパニッシュ・ナイト》は、10日(月)夜、開催。風雨強まる悪天候にもかかわらず、会場のすみだトリフォニーホールには熱心なフアンが詰めかけた。スペイン歌曲を、しかも20世紀の作品をこれだけまとめて聴ける機会は、日本では決して望めない。トルドラの「6つの歌曲」から始まり、エスプラ、モンサルバッジェ、ガルシア・レオスと、各々の作品に深く、緻密に、丁寧にアプローチし、粋やユーモアを効かせながら優雅に歌い上げる。後半は、パレラ・フォンス、ガルシア・アブリル、ピアソラと続き、締めにサルスエラ2曲が来た。アンコール1曲めは、僭越ながら私も先日のリサイタルのアンコールで歌わせていただいた「サパテアード」、2曲め、ファリャ「お前の黒い瞳」は、まさに彼女のCDで知り、勉強し、レパートリーにさせていただいた曲だ。ご本人のナマ歌で聴ける幸せ!

翌11日(火)は、インスティトゥト・セルバンテス東京でのトーク&ミニコンサート
ウガルテ館長との対談の後、3曲演奏、加えてアンコールも。前夜リサイタルのプログラムもかなりのボリュームだった。お疲れは大丈夫か、と、心配になる。が、彼女はまったく手を抜く気配がない。誠心誠意、語り、歌い、終了後の人の波にも対応されていた。

14日(金)は、昭和音楽大学で公開レッスン が開かれた。学生さん4名がロドリーゴ、オブラドルス、グラナドスの作品を演奏し、ひとりずつバーヨ女史の指導を受ける。このレッスンが熱い!まずい箇所は何度でも止め、何度でも説明し、自ら歌ってみせ、わずかでも受講生に改善の兆しが見えるまで「Otra vez!~もう一度!」と、指導を止めない。率直で真心のこもった貴重なレッスン。約30年前、通訳を務めたビクトリア・デ・ロス・アンへレスの公開レッスンを思い出した。

もっとフレーズの先を見て歌って!の意で、彼女が受講生に何度も繰り返した言葉がある:Más allá!

Más allá!~もっと向こうへ!もっと遠くへ!…切なさがふと胸に迫る。そう、彼女の歌は端正で美しく、熱く、可愛く、それでいて、どこか切なく儚い。深い情熱を秘めたその儚さに私は心惹かれている。お話させていただいても、飾らず、気取らず、いつも自然体。愛おしくチャーミングな女性だった。来日してくれて嬉しかったなぁ。。。ありがとう!マリア・バーヨ!

リサイタル第2夜《ヘンデル、そしてモーツァルト》は、17日(月)午後7時開演です。

マリア・バーヨが歌うヘンデル



by Megumi_Tani | 2019-06-16 21:24 | スペイン歌曲 | Comments(0)

マリア・バーヨの一週間   

スペインの名ソプラノ、マリア・バーヨが来日している。
明るく澄んだ歌声、緻密なテクニック、自然体での表現、お人柄を感じさせる歌い口…。スペイン歌曲といえば、何だかよく分からないまま愛だ!情熱だ!と叫ばれる?傾向多々あり。初めて彼女の歌を聴いた時には心底ホッとしたものだ。軽やかでしかもしっとりと落ち着きのあるソプラノとしての選曲、演奏に、大いに学ばせていただいて来た。

明日からは、そのマリア・バーヨの演奏会、イベントが続く。
10日(月)リサイタル第1夜〈スパニッシュ・ナイト〉スペインの名歌曲集
11日(火)トーク&ミニ・コンサート@インスティトゥト・セルバンテス東京
14日(金)公開レッスン
17日(月)リサイタル第2夜〈ヘンデル、そしてモーツァルト〉

いつも【ぴあクラシック】にお言葉を寄せてくださるオペラ研究家・岸純信先生が、マリア・バーヨについて、素敵なご紹介をされている。
スペインのディーヴァが待望のソロ・リサイタル

リサイタル、公開レッスンとも、まだお席があるようです。
ご興味おありの方は、ぜひ!

バルセロナ・リセウ音楽院での公開レッスン



by Megumi_Tani | 2019-06-09 13:01 | スペイン歌曲 | Comments(0)

追悼 モンセラート・カバリェ   

スペインが生んだ世界的名ソプラノのひとり、モンセラート・カバリェが天に召された。
世界的なソプラノ歌手モンセラート・カバリエさん死去85歳



私が大学生の頃、すでに彼女は20世紀を代表する大ソプラノのひとりだった。学生定番のプッチーニ「私のお父さん」から数々の有名オペラ・アリアまで、ソプラノと称する歌い手であれば、誰もが一度は彼女の名唱を耳にしたことがあるだろう。

バルセロナ留学時代、リセウ大劇場で彼女が『トスカ』を歌うというので勇んでチケットを買った。しかし体調不良を理由に公演は中止になった。当時からしばしば健康面での不安が囁かれることがあったように記憶している。今回は胆のうの病ということで、先月から入院情報が流れていた。

カバリェといえば、もうひとつ忘れられないのがフレディ・マーキュリーとの共演による「Barcelona」だ。昨夜のスペインの報道のなかでも、あるサイトは、心に残る彼女の業績のトップにこの曲を挙げていた。フレディからのたっての希望で実現したというこのデュエットは、1992年のオリンピックとともに、「バルセロナ」の名をあらためて世界に知らしめた。フレディの死後、カバリェが長くこの曲を封印していたというエピソードにも心打たれる。

昨年の毎日メディアカフェ「歌曲でめぐる芸術の街バルセロナ」の直前、バルセロナでテロが起きた。衝撃さめやらぬまま迎えたメディアカフェ本番、光り輝くモンジュイックの丘で「バルセロナ」を讃える二人のデュエットに胸が熱くなった。

稀有なる美声、稀有なる高音、揺るがぬテクニック、揺るがぬ歌唱。不世出の歌い手ながら、どこか気の良い笑顔の似合う女性だった。名アリアの名唱は数々あれど、ここでは、いくつかの珍しい動画をご紹介したい。

若きカバリエが歌う「マハと夜鶯」~グラナドス『ゴイエスカス』より


グラナドス「永遠の哀歌」

カレラスとの共演


ドミンゴとの共演


娘さんとの「猫の二重唱」


そして、「バルセロナ」


昨日「二つの鳥の歌 」のブログを書き終え、アップしようとしたところで、カバリェの訃報を知った。しかもそのニュースには、彼女がカタルーニャ音楽堂で「鳥の歌」を歌う動画が添えられていた。共時性?ふと不思議な気がする。

★こちらのサイトで、数々のオペラ舞台からプライベートまで、彼女の生涯を短くまとめた動画が見られます。「Montserrat Caballe

どうぞ安らかに。たくさんの歌をありがとうございました。



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お申込み受付中!
10月30日(火)午後6時30分
どなたでも参加できます。入場無料・要事前お申込み
お申し込みはこちら ⇒ 2018年10月30日のイベント



by Megumi_Tani | 2018-10-07 12:29 | スペイン歌曲 | Comments(0)

〈エル・アレグリート〉考   

このブログでも何度か登場した、セバスティアン・イラディエール作曲〈El arreglito~エル・アレグリート〉という作品がある。ジョルジュ・ビゼー作曲オペラ《カルメン》の有名なハバネラの元歌とされる歌曲だ。
Programa ご案内「エル・アレグリート」
1119♪ カルメン〈恋は野の鳥〉の元歌です

昨日放送されたNHK-FM『オペラ・ファンタスティカ』のなかで、《カルメン》と〈エル・アレグリート〉について、オペラ研究家の岸純信先生が詳しくご紹介くださった。
世界的大人気オペラ《カルメン》に関する情報は溢れているが、併せて〈エル・アレグリート〉が採り上げられる機会は極めて少ない。貴重な番組だった。

《カルメン》やビゼーについては、岸先生のご著書「オペラは手ごわい」もぜひどうぞ。

作曲家、ピアニストとして名を成したイラディエールはパリへ行き、ナポレオン三世皇后の音楽教師にまで昇りつめた。スペインからやってきた人気音楽家ということで、社交界にも出入りし、ロッシーニやメリメとも交流があった。よもや後に、メリメ原作のオペラにイラディエール作曲の旋律が使われることになろうとは!

ビゼーはピレネーを越えたスペインの、それもフランスにほど近いバルセロナや首都マドリードではなく、ずっと南のセビーリャに思いを馳せて《カルメン》を作曲した。イラディエールは旅したキューバが忘れられず、かの地のリズム:ハバネラによる歌曲を山ほど書いた。そういえば、メキシコ人作曲家アウグスティン・ララが一度もスペインへ渡ったことがないまま〈グラナダ〉を作曲した話は有名だ。グラナダ!我が夢の大地よ!と声高らかに歌い上げるあの曲は、ララ本人の夢そのものだったというわけだ。

遥かなる地への憧れ。それは、人の心を突き動かす大いなるエネルギーのひとつなのかもしれない。

〈エル・アレグリート〉素朴なかけあい版

〈エル・アレグリート〉子ども用版 歌詞無し

三大テノールとなっていますが、なぜかドミンゴがひとりで歌っています。

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by Megumi_Tani | 2018-06-23 23:11 | スペイン歌曲 | Comments(0)

ビクトリア・デ・ロス・アンへレス没後13年   

2005年1月15日にビクトリア・デ・ロス・アンへレスが天に召され、早や13年が過ぎた。寒い冬、最期は肺炎だったと聞いた記憶がある。訃報を知ったバルセロナの親友が記帳に行ってくれた。「もちろん、メグミさんの名前も書いて来たわ。大丈夫、貴女の想いは通じている」と、電話で伝えてくれた。


20世紀を代表する大歌手、名ソプラノのひとり。しかしマリア・カラスのように、ある種威圧するがごとき圧倒的存在感で周囲をひれ伏させるタイプの歌い手ではない。人間味に溢れ、いつも自然体。「気さくで親しみやすい人柄」と、大抵の文章で紹介されている。しかし、その親しみやすさの根底に、ゆるがぬ気品と誇りがあった。分かる人だけ分かればいい、そんな達観も感じられた。80年代後半から90年代初めにかけて何度も来日。日本にいながらにして彼女のナマの演奏に触れ、ひょんなことから通訳まで務めさせていただいたことは本当に幸せだった。

ビクトリア・デ・ロス・アンへレスの想い出

24年前のサルスエラ公演


くたびれた時、ふと迷った時、どこからか気配を顕し、見えないエールを送ってくれる。まさに、偉大なる私の Ángel~天使だ。


彼女のドキュメンタリー番組Imprescindibles-Brava Victoria

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1994年リセウ大劇場でのリサイタル



御身を愛す



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by Megumi_Tani | 2018-01-17 00:50 | スペイン歌曲 | Comments(0)

101回めの命日   

昨日3月24日は、エンリケ・グラナドス101回目の命日だった。

ニューヨークでオペラ『ゴイエスカス』初演の大成功に立ち会い、数々の賛辞を受け、ホワイトハウスにも招かれ、安堵と喜びに満たされてバルセロナへ帰る、その途中、グラナドス夫妻が乗った船は英仏海峡でドイツ潜航艇の無差別攻撃を受け、沈没した。いったん救助されかかったグラナドスだったが、波間でもがく妻アンパロを見つけ、彼女を助けようと、再び海へ…。二人の姿が戻ることはなかった。

グラナドスは泳げなかった。そもそも海が嫌いだった。ニューヨークへの船旅も渋っていたが、第一次世界大戦勃発のために、いつまでたっても日の目を見ない『ゴイエスカス』の初演を、メトロポリタン歌劇場が引き受けてくれたのだ。行かないわけにはいかない。いや、何が何でも行きたかっただろう。『ゴイエスカス』は、グラナドスが愛したマハとマホの世界そのものの物語だったのだから。しかし、意を決して敢行したその船旅で命を落とすことになった。哀しい戦争の犠牲だ。

後日談が残されている。グラナドスの息子のひとりは、水泳100メートル自由形のスペイン・チャンピオンになった!彼の妻も水泳のチャンピオンであり、彼らの息子達-グラナドスの孫にあたる-も、長距離と短距離の選手になった。突然の海での悲劇に襲われたグラナドス一家。しかし子ども達は「水」に負けなかった。それどころか、水に親しみ、水を制覇してみせたのだ。「おじいちゃんとおばあちゃんは船の事故で亡くなった。でも、もしも泳げれば、助かっていたかもしれない。そう思って、パパは一生懸命水泳のトレーニングに励んだんだ。お前達も頑張るんだよ」と、グラナドスの息子さんがそのまた二人の息子さんに語ったのでは…。などと思いを巡らすと、ふと心が和む。

昨年は没後100年、そして今年は生誕150年。グラナドスの記念の年に現役の歌い手でいられたことを心から幸せに思う。秋11月のリサイタルでは、人気の作品に加えて、日本ではほとんど知られていない隠れた名歌を捧げたい。

グラナドス夫妻、最後の写真
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by Megumi_Tani | 2017-03-25 23:31 | スペイン歌曲 | Comments(0)

天使の応援?   

秋リサイタルに向けて、選曲も佳境。今年のタイトルは《スペイン浪漫Ⅲ~E.エンリケ・グラナドス生誕150年、F.モンポウ没後30年に捧ぐ》。浮かび上がるイメージ、ストーリー、伝えたいこと、声、ピアノの響き…。それらを、どんな形でこの世に具現化するか。わずか2時間のあの時空を目指して、エネルギーのすべてを注ぎ込む。楽しいけれど大変、大変だけれど楽しい作業だ。

どんなに好きでも、人間、たまにはくたびれる(笑)。そんな時、いつも心に浮かぶ光景がある。1986年夏、アルベニス生誕の町カンプロドンで聴いたビクトリア・デ・ロス・アンへレスと師マヌエル・ガルシア・モランテの演奏会、そのリハーサルだ。
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バルセロナから車で2時間ほどのところにあるカタルーニャの鄙びた町カンプロドン。中世の面影をそのまま残す町の修道院で演奏会は開かれた。私は弟子特権?で、二人のリハーサルを最初から最後まで、ずっと聴かせてもらった。客席には私ひとり。美しく、贅沢な時間だった。スペインでも日本でも二人の演奏会を何度も聴いたが、このリハーサルは格別で、あたかも一幅の絵のごとく鮮明に心に焼き付いている。この時に聴いたアルベニスの『Barcarola』は、後に私の大切なレパートリーになった。Youtubeでも見つからない、ほぼ無名の曲だが、歌えば、心は一瞬であのカンプロドンに飛んで行く。歌の原点に立ち返らせてくれる。 『ビクトリア・デ・ロス・アンへレスの想い出

ここ数日ボンヤリとそんなことを考えていたら、なんと!FBで、バルセロナ在住の建築家丹下敏明氏が自ら撮影したカンプロドンの写真をアップしてくださった。嬉しい偶然!
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シエスタの時間にホテルを抜け出し、町を歩き回ったことを思い出す。懐かしい…。こういう時は、ちょっと厚かましいけれど、天使(Àngel ~アンヘル)が空の上から応援?してくれている気がする。ありがとうございます。頑張ろうっと!

カタルーニャ音楽堂での記念リサイタル。1:01:30あたりから『Barcarola』です。

by Megumi_Tani | 2017-03-20 00:04 | スペイン歌曲 | Comments(0)

「Neu - 雪」   

「Neu」というタイトルのモンポウの歌曲がある。「Neu」とは、カタルーニャ語で「雪」の意。単調に刻まれる和音、ゆっくりと漂うメロディー…。どこまでも簡素なピアノと歌がひとつの宇宙を創りだす。2分にも満たない小曲だ。

先日の日本・カタルーニャ友好親善協会テルトゥーリア『カタルーニャから生まれた名歌曲』で、この「Neu」をご紹介した。といっても、当日は盛り沢山のプログラムに加えて、懇親パーティー会場への移動時間を確保してください、とのことで、かなり押せ押せの進行。講師の私本人が、タイムキーパーよろしく、手元のパソコンに表示される時刻を睨みながら進めていく。予定の曲を諦め、お聴きいただいている曲を泣く泣く途中でカットし、ご披露するエピソードを少々短縮…。頭の中で分数を計算しながらの、なかなかスリリングな?展開だ。

講演も中盤、話題が今年没後30年を迎えたモンポウに及び、カタルーニャを、そしてスペインを代表する名歌「君の上にはただ花ばかり」をお聴きいただく。あえて、日本では知られていないカルメン・ブスタマンテの演奏。この曲はカットするわけにはいかない。皆さんと一緒にCDを聴きながら、時間調整のために次の「Neu」は取り止めにしよう、と、考えていた。モンポウの歌曲の中でもほとんど無名に近い作品だ。まぁ仕方がない、と。ところが、「君の上にはただ花ばかり」の余韻に浸っている間に、CDデッキから「Neu」が流れ始めてしまった。アララ!これは止められない。途中でカットするほどの長さもない曲なのだ。「「Neu」という作品です。演奏は、谷めぐみ。とても短い曲で…」と大慌てで解説。Ai!, quina tristesa fa~あぁ!なんという寂しさだろう…。印象的なこのフレーズが繰り返され、静かに、本当に静かに曲が終わった。会場に、えもいわれぬ溜息があふれた。

懇親パーティーでの一番人気は「Neu」。これには驚いた。最後の歌詞「Ai!, quina tristesa fa」に、皆さん、深く感銘を受けていらっしゃる。研ぎ澄まされた音、あらゆるものをギリギリまで削ぎ落とした美、無の中の無限…。モンポウが求め、追求した世界は、我々日本人の魂と響き合うものがあるのかもしれない。と同時に、佳き出会いがあれば、原語が分かる分からない云々の壁を軽々と飛び越えて、深く共感、共鳴し合えることを、あらためて実感。

拙CD「谷めぐみが歌う魅惑のスペイン」をお持ちの方、第2曲に「Neu」収録されています。どうぞお聴きになってみてください。

モンポウ:哀歌~「内なる印象」より

by Megumi_Tani | 2017-02-18 23:48 | スペイン歌曲 | Comments(0)

カザルスはこんな人   

2月3日(金)開催、日本・カタルーニャ友好親善協会テルトゥーリアにて、カタルーニャから生まれた名歌曲の数々をご紹介する。

言わずと知れたチェロの巨匠パウ・カザルス。平和を祈り、理想を掲げ、強く真っ直ぐに生きた信念の人。あのあまりにも有名な国連でのコンサートをご記憶の方は多いと思う。明日1月20日はアメリカ大統領就任式。もしもカザルスが生きていたら、今の世界に、何を語るのだろう。。。
RTVE制作ドキュメント「Pau Casals y la paz - 2011 (Imprescindibles)」

カザルスは偉大なチェロ奏者であるとともに、指揮者、作曲家でもあった。ピアノの腕前もなかなかだったらしく、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスの伴奏をしたライブ録音が残されている。



歌曲作品の中から「Adios…!」を昨年の第25回リサイタルで演奏した。日本初演!嬉しいことに大好評をいただいた。作品に触れると、強靱な精神の持ち主カザルスが、実は、極めてナイーブな、超のつくロマンティストだったことが分かる。強いから弱くもなれる、弱さを知るから強さの意味も分かるのだ、きっと。合唱曲では、モンセラート修道院の聖歌隊に贈られた作品が美しい。
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日本・カタルーニャ友好親善協会テルトゥーリア 2月3日(金)18時30分開演
会場、お申し込み方法など、詳細はこちら ⇒ 『カタルーニャから生まれた名歌曲』


by Megumi_Tani | 2017-01-19 23:32 | スペイン歌曲 | Comments(0)