『魅惑のスペイン歌曲~ファリャ』その2
2016年 11月 19日

第1回『魅惑のスペイン歌曲~ファリャ』その1では、若きファリャが苦闘の末、オペラ「はかなき人生」入賞とピアノ・コンクール第1位という二つの栄冠を獲得、パリへ渡り、大成功を収めるところまでをたどりました。
その後、努力が実り、己の音楽が受け入れられ、人脈にも恵まれ、ファリャは、芸術の都パリで音楽家として生きる決意を固めます。まさにその時、第一次世界大戦が勃発。ファリャは帰国を余儀なくされました。
この時期に発表されたのが、スペイン歌曲の金字塔ともいえる作品、「七つのスペイン民謡」です。ファリャ本人の伴奏による貴重な録音が残されています。
テレサ・ベルガンサによる「ギター伴奏版」 「オーケストラ伴奏版」
その後も独自多彩な作品を発表。作曲家として、また指揮者として活躍を続けますが、ファリャの健康は、年ごとに、著しく、衰えていきます。転地を兼ねて移り住んだグラナダでは、ガルシア・ロルカと交流。微笑ましいエピソードも残されています。しかしここでも穏やかな日々は続きませんでした。スペイン内戦。恐怖、不安、悲しみ、憤り、そして親しい友の死…。ファリャは深く傷つきます。内戦終結後、アルゼンチンから招聘を受け、病をおして出国。望郷の念を募らせながら、彼の地で亡くなりました。
小柄で痩せっぽち、頭は禿げ、歯は抜け、いつも黒づくめの服、まるでどこかの用務員さんのようだったというファリャ。そんなファリャが、厳格な自己規制を課し、沈黙と祈りの生活を続け、命をかけて追求した、より本質的な、より根源的なスペイン音楽。その音世界が放つ妖艶な熱!鮮やかな色彩!「ファリャの前にファリャ無し、ファリャの後にファリャ無し」いつかどこかで読んだ言葉が蘇ります。
「背景を知って曲を聴くとまるで違います」「もしも今、ファリャが生きていたら、どんな曲を書くのでしょう…?」「ギター伴奏とピアノ伴奏の違いは?」etc。セミナー終了後も、会話が弾みました。
熱心に受講された皆さん、1回しか受講できないけれどそれでも!と駆けつけてくださった皆さん、ありがとうございました。¡Hasta la próxima!
最後に、「はかなき人生」の舞曲とサルーのアリアをどうぞ。
▲ by Megumi_Tani | 2016-11-19 23:12 | 講座/セミナー | Comments(0)