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「声の力を学ぶ」連続講座 第5回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第5回を聴講させていただいた。
第1回」「第2回第3回」「第4回

今回の講師は、詩人の吉増剛造演題は『声のマ(魔)』。このタイトルは、2016年東京国立近代美術館で開催された「声ノマ 全身詩人展」に由来するとのこと。「声ノマ」がなぜ「声のマ(魔)」になったのか、「マ」とは、真であり、間であり、舞であり、魔であり…。片仮名「マ」を導入に講義が始まった。

自ら録音した「声ノート」を聞くとき、22歳の己の声に恐怖を感じるのはなぜか?自ら集めた詩人、歌人、思想家たちの肉声を繰り返し繰り返し聞くことで、「歌の底をながれているらしい流れを聞き」、「歌というものの不思議を聞く」。声とは何か?声を聞くとは何を聞くことなのか?講義の途中でも、「あ、この声には〇〇な想いがあるんだ。今、気が付いた」と、何度も呟かれる。

機材の進化によって、残せないはずの声が残せたり、聞けないはずの声が聞けたりするようになった。講義のなかで聞かせていただいた貴重な肉声の数々。折口信夫、堀口大學、柳田國男etc。与謝野晶子は大柄だが声は小さい人だったそうだ。歌人たちが自作の歌を詠む声、その「間」は「裂断」、裂断は「刹那」、その刹那を引き延ばすところに精霊が降りてくる…。「黙」と書いて「しじま」、「黙の深み」「黙の言葉」…。

講義は自由自在に、しかし、声の「魔」をじっと凝視しながら進んでいく。「声の底の声を聞く」と核心を突き、「世界の割れ目をどのようにつかまえ、どのように自分の世界にしていくか」と鼓舞し、「コンピューターも発達するが、人間はもっともっと深くなる」と力強く…。

資料として配布されたA3の紙は、手書きの文字でびっしりと埋められていた。帰宅して、夜、これを丁寧に読み込んでみた。自由自在に、と感じられた講義の内容が、実は詳細に書き記されていたことに驚く。文字の大小、行間、細かく書き込まれたメモ等々に、講義の合間にふと浮かべられた表情や眼差しが蘇る。独特の美しい文字で書かれた文章が、声で語られる言葉とはまた違う何かを伝えてくれていることも興味深い。圧倒的な存在感とエネルギー。頭脳と感受性をごりごりマッサージされたような、刺激的な時間。

この拙いブログでは、とても表現しきれない世界です。気になった方は、8月11日から始まるこちらの展覧会へどうぞ。涯ノ詩聲 詩人吉増剛造展 期間中、8月26日には、山根基世さんとのコンビで、ワークショップ「声の力」が開催されます。

最後の質問コーナーでの山根さんとのやり取りの中で:
「声は人間を探る新しい鉱脈、人間を知る大きな手掛かりになりうる」
そう!まさに「声の力」です。


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by Megumi_Tani | 2018-08-10 22:35 | 講座/セミナー | Comments(0)

『わが心のアランフェス~ロドリーゴの魅力』その2   

夏期セミナー『わが心のアランフェス~ロドリーゴの魅力』@セルバンテス文化センター第2回が終了した。『第1回』に続き、ロドリーゴの人生をたどりながら、主な歌曲作品、小品ながら個性豊かな歌の数々をYoutubeやCDとともにご紹介した。
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ロドリーゴの歌曲には新古典的ともいえる端正なスタイルの作品が多い。どんなに音楽が展開しても最後は落ち着くべきところに落ち着く安心感。そこに、16世紀の歌を採り入れたり、スペインらしいリズムを際立たせたり、と、多彩な要素がカラフルに散りばめられている。たまに鳴るビックリするような和音には、「ほら、面白いだろう?」とでも言いたげな、遊び心が感じられる。

ロドリーゴが病で視力を失ったのは4歳の頃だ。4歳までに「見た」ものの記憶はほとんど残っていないだろう。凡人には想像もつかない暗闇の世界に生きながら、プリズムのような音の絵を描き、学問にも通じ、数々の栄誉と名声を得た、その傍には、生涯をかけてロドリーゴを支えたビクトリア夫人の存在があった。二人は今、そろってアランフェスの墓地に眠っている。

「今日聴いた〇〇の曲を歌ってみたいと思います」と、スペイン歌曲の勉強をしている受講生さんはヤル気満々。毎回熱心にご参加くださる方、今回初めて参加の可愛いお嬢さんも大いに楽しんでくださった様子。時々駄々をこねるパソコンも昨夜はサクサク絶好調!ロドリーゴ講座らしく、どこか晴れやかな終了になりました。Muy bien!

〈聖なる羊飼い〉


〈ベツレヘムの小歌〉


不思議な響き〈四つのセファルディーの歌〉


必見!ロドリーゴ夫妻とアランフェス




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by Megumi_Tani | 2018-08-04 20:01 | 講座/セミナー | Comments(0)