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2018年、年の瀬に寄せて♪   

今年も残りわずか。仕事柄、通常はほぼ西暦を使用しているが、今年は平成最後の年の瀬ということで、いつもの年とは違う感慨があった。

12月23日にテレビ放映された天皇陛下の記者会見。人生を「旅」に例えられた真情溢れるお言葉に、人として深い共感を覚えた方も多いのではないだろうか。
天皇陛下85歳 平成最後の誕生日会見

「共感」は、心に力を与えてくれる。元NHKアナウンサー山根基世さんが主宰される連続講座「声の力」 、第8回で出会った「ダバール」のお話。ご講義後の質問時間に、私が思わず語らせていただいた遠い日の体験談に、森司教様は「よかったですね」と優しく頷かれた。「頑張れ」ではなく、「よかったですね」「大変でしたね」そんな共感の言葉、寄り添ってくれる言葉こそが、人を慰め、力を与えてくれる。

個人的には、予期せぬ入院騒動に見舞われた年だった。両刃の剣としての薬の力を実感。あな恐ろしや。

9月には、久しぶりのCD「スペイン浪漫」をリリースさせていただいた。想いをいっぱいにこめた選曲。おかげ様でご好評をいただいている。「ジャケットにバーン!と貴女の写真が無いところが貴女らしい」とのご感想を寄せてくださった方がいた。どんなに素晴らしい作品でも、楽譜である限り、ただの紙切れに過ぎない。その紙切れっぱいに踊る音符、楽語、記号、歌であれば歌詞 etcを通して、作曲家が創り出した音宇宙を感得し、その佳き表現者になる。演奏者の使命、目標は、ただそれに尽きるような気がする。いつもまず作品がある。そして、それを伝える役目の演奏者がいる。というわけで、私の場合、ジャケットにバーン!という写真は、心情的にご縁がない(笑)

そんな想い、願いに、勇気を与えてくれる記事に偶然出会った。
アレクサンダー・コブリン審査委員へのインタビュー
他者との競い合い、己の個性の発露に夢中になることで、知らず知らずのうちに見失われていく大切なものにやんわりと警鐘を鳴らし、己のエゴを捨て、ただ作品そのもになりきった演奏を讃えている。最終段の言葉「私が求めているのは、自分自身よりも音楽のほうを愛している音楽家です」素敵!

節目の年の瀬、来たる年が明るく穏やかでありますように。
皆様、どうぞ素敵な年末年始をお過ごしください。

今年天に召されたカバリエと、同じく今年映画が大ヒットしたフレディ・マーキュリー。同じ年に話題になるなんて!二人はやっぱり相性がよかったのかな。



by Megumi_Tani | 2018-12-28 22:17 | 思い&想い | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第9回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第9回を聴講させていただいた。

★第1回から第8回のレポートは、こちらのページでご覧になれます。
山根基世「声の力」講座

今回の講師は、詩人、俳人、随筆家、翻訳家としてご活躍のアーサー・ビナードさん。
タイトルは「ケモノの声が出せるか?日本語と英語の源について」。アメリカ、ミシガン州に生まれ、日本で学び、活動するようになられたご自身の歩み、他言語との出会い、他言語で考える楽しさ、アルファベット「R」が表わすもの、翻訳とは何か、言葉とは何か、etc,etc。ユーモアたっぷりのお話は尽きるところがない。最後には、自ら制作された貴重な「紙芝居」もご披露くださり、素敵な二時間が終了した。

アーサーさんの綴りは「Arthur」。意味は熊。「熊五郎ですね」などと笑いを取っておられたが、Arthur に入っているアルファベット「R」は、本来とても勢いのある、強烈な発音を表わす。「Arthur」にはその強烈な「R」が2つもある。日本語で言うちょっと息が抜けた感じの「ああさあ」は、ずい分印象が違うそうだ。関連して、日本語のラリルレロは「R」か「L」か、という問題もある。どちらかといえば「R」??しかし厳密には、そのどちらでもない。「R」は迫力、「L」は優しさ。両者は対極にある。そもそも「R」と「L」は別物なのだ。

絵本『はらぺこあおむし』を題材に、翻訳の真髄についても語られた。翻訳とは、単なる言葉の置き換えではない。言葉の奥にあるものを掘り起こし、掘り下げ、深い根底を確認し、創作すること。そのためには、言葉の奥にある力学を知らねばならない。

アーサーさんは数多くの絵本の翻訳を手掛けておられる。講座後半には、まずそのなかのひとつ、世界的大ヒット曲「What a wouderful word」の歌詞をアーサーさんが翻訳した『すばらしい みんな』を、絵とともに、読み語ってくださった。
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続いて、昆虫語という我々人間には分からない言葉による絵本「なすずこのっぺ?」の読み語り。単語の意味はチンプンカンプン、まったく分からない。しかしそれでも、アーサーさんが深い抑揚をつけて読み、語る声に、会場全体が惹きこまれていく。この絵本に込められたアーサーさんの熱い思いが、真っ直ぐに伝わって来た。
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スペイン語の歌に携わる者として、今回の講座はとても身近に感じられるお話だった。
「R」と「L」は、外国語の歌を歌う日本人にとって永遠の課題だ。「R」と「L」は別物だと言われても、我々には、そもそも別物と捉える感覚が無い。二種類のラリルレロをいかに明確に区別して発音するか、という本来ありえない目的のために、日本語脳には刷り込まれていない舌の動きと悪戦苦闘するハメになる。翻訳についてのお話には、いたく共感。まさに膝を打つ思い。昆虫語による読み語りには、「あぁ、スペイン語の歌を聴いているお客様の大半は、こんな感じなのかなぁ」と、あらためて実感。意味がダイレクトに分からない。でも、何とかして作品にアプローチしようと耳と感性を研ぎ澄ます感覚。そして……アーサーさんの昆虫語による読み語りは、たしかに私達の心に届いた。その根底には、アーサーさんのこの作品への愛がある。そして「声の力」がある。

「日本に来て、母国アメリカを客観視することで、逆にアメリカの中に入り込むことが出来た」とも語っておられた。外国文化に関わっておられる方々の中には、共感される向きも多いのではないだろうか。私も、スペインという国に深く触れることで、日本という国に対するより客観的な視線が養われたような気がする。

講座の締めに、山根さんが紹介されたこの本。鋭いです。
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by Megumi_Tani | 2018-12-15 22:40 | 講座/セミナー | Comments(0)