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ピアニスト♪浦壁信二さん

猛暑お見舞い申し上げます。暑い、、、ですね(^^;;

『ぶらあぼ』8月号のインタビューを読んだ方からメッセージをいただいています。

なかでも多かったお声は、「”極め人" なるほど!」「浦壁さん、お元気で何より!」のふたつ。

”極め人"なる言葉。生みの親は、今回インタビュアーを務めてくださった井内美香さんです。今年2月「OTTAVA Now!」に出演の際、この世に誕生?しました。

ピアノの浦壁信二さんは、私のリサイタルでも大人気!超絶テクニックと深い音色を併せもつスーパーピアニスト。そして、ソリストにぴたりと寄り添うことが出来るスーパー伴奏ピアニスト。


習慣的に「伴奏」という言葉を用いますが、伴奏の真髄は「共演」です。『ぶらあぼ』インタビューでもお話したように、バルセロナの私の師はビクトリア・デ・ロス・アンヘレスの伴奏者でした。歌い手とピアニストの共演の在り方を、私は、尊敬する二人から知らず知らずのうちに感じ取っていてのかもしれません。

何度リハーサルを繰り返しても、本番で歌い手に何が起きるかは分からない。歌い手が何をやらかすかも分からない。歌い手本人にも分からないのだから、どうしようもない。全体を俯瞰しながら、何かの時には即アシストする。歌い手は正面、ピアニストはピアノの方を向いているから、アイコンタクトがとれるわけではない。つついて合図が出来るわけでもない。歌い手の気配を感じ取り、危ない!と思ったら即!アシスト!しかも何事も無かったかのように淡々と…。本当に、伴奏ピアニストって大変なお仕事なのです。

そんな「伴奏」について、浦壁さんがインタビューを受けている動画がありました。ピアノでうっとり酔わせ、語ると素朴。このあたりがまた人気の秘密。
お客様のひとりから、今日届いたメッセージ。
「前回リサイタルで感動的だったことのひとつに、ピアニストとの呼吸のよさがありました。人と人との息がピッタリ合うと、和音が響くように、こんな世界が湧き上がるんだなぁと涙が出ました」

嬉しいお言葉です。今回もそんな音楽を共に創りお届けしたいと願っています。

ご来聴をお待ちしています♪

# by Megumi_Tani | 2023-07-27 23:19 | リサイタル

『ぶらあぼ』8月号インタビュー掲載

クラシック音楽情報誌『ぶらあぼ』8月号、本日発行。

こちらに、谷めぐみのインタビューが掲載されました。インタビューアーは、井内美香さん。
9月10日開催リサイタル《スペイン歌曲浪漫》について、あれこれお話しています。
下記↓クリックでインタビュー・ページへ。そのまま『ぶらあぼ』全ページをお読みになれます。
クラシック音楽情報誌『ぶらあぼ』紙版は、全国各地のホール、音楽大学、楽器店等々で入手できます。旬の情報、読み物満載。お近くにお出かけの際は、ぜひお手に取ってみてください。
ご来聴をお待ちしています♪

# by Megumi_Tani | 2023-07-18 22:02 | リサイタル

声は語り♪リズムは歌う♪

スペイン語で歌うことカタルーニャ語のこと、歌詞についてあれこれ書いて来た。その一方で、一切歌詞無し→ヴォカリーズで歌い続けて来た曲がある。「わが心のアランフェス」だ。

世界初のギター・コンチェルト、ホアキン・ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」。哀愁を帯びた第2楽章のテーマは世界で最も有名なスペインの旋律かもしれない。ギターのために書かれた曲だが、そのあまりの美しさに、、様々な楽器がこぞって奏でるようになった。やがて、スペイン語、フランス語、英語、ドイツ語等々の歌詞が付けられ、歌としても演奏されるようになった。ジャズ、イージーリスニング等々のスタイルでも大ヒットしている。

どういうものか、私は、最初からこの曲はヴォカリーズと決めていた。オリジナルがギター曲、ということは、元々歌詞が無い。歌詞が無くてもあの旋律は十分に、十分すぎるほどに語っている。言葉は要らない。ギターが切々と語るように、声という楽器で語ってみたい。生身の楽器である声は、刻々と変化する。声の変化とともに、語られるものも刻々と変わる。

その真逆ともいえる作品がグラナドス作曲「スペイン舞曲第5番-アンダルーサ」だ。こちらは元々ピアノ曲。後年、スペイン語の歌詞が付けられた。この後付けの歌詞がピタリと嵌っている。アンダルシアの地を讃える内容もさることながら、曲のリズムと歌詞のスペイン語が見事に合致、ともに躍動している。この曲最大の魅力、粋で妖しく弾けるリズム。これはヴォカリーズの領分ではない。キレのいい歌詞あればこそ!

スペイン歌曲といってもいろいろな曲がある。その ”いろいろ” が実に ”いろいろ” 。メロディアスでリズミックで、粋で素朴で嬉しくて哀しくて、そして何より人間らしい。9月10日リサイタルでは、”いろいろ” な味を存分にお楽しみいただきたい。

ご来聴をお待ちしています♪

グラナドス本人が弾く「スペイン舞曲第5番アンダルーサ」
右手のメロディーに乗せて「Andalucia~♪」と歌い始めます。



# by Megumi_Tani | 2023-07-14 23:24 | リサイタル

七夕とロスバゲ

7月7日七夕。この日が来ると必ず思い出すことがある。どこぞの恋しい彦星様のことではない。バルセロナ留学から帰国した、その日が7月7日だった。あぁ久しぶりの日本!と感動したから思い出すわけでもない。成田に着くと、バルセロナで預けた荷物が消えていたのだ。まさかのロスバゲ…。「出て来ないかもしれません」カウンターの女性はこともなげに言った。

バルセロナにいる間に楽譜をたくさん買い込んだ。今のようにインターネットで検索&購入などできない時代。当時日本からスペインへの注文は甚だ心もとなかった。現地で楽譜を手に入れることは最重要ミッションのひとつ。買い集めた大量の楽譜を箱に詰め込み、出発前、バルセロナから日本に発送した。しかしスペインと日本を行き来する荷物はしょっちゅう行方不明になる。念のため、数ある楽譜のなかでも絶対に無くなっては困るものは手荷物で持ち帰ることにした。マエストロ・モンポウご本人にサインをいただいた『夢のたたかい』、グラナドスの末娘ナタリアさんにサインをいただいた『昔風の粋な歌曲集』、「鳥の歌」が入った『カタルーニャ民謡集』、先生のお手伝いをして完成させた『日本民謡集』…。あえて手荷物にした、その大切な楽譜が消えた。

「調べますが、分かるまでに数日かかります」とのこと。私は帰省をとり止め、東京で待機することにした。祈るような、まさに祈るような思い。心はまだ完全にバルセロナ、しかし身は炎天下の東京・渋谷。Tシャツにジーンズ、手元にあるのはショルダーバッグだけ。そして、あの、あの大切な楽譜が無くなった…。現実を受け止めきれず、何だかポカンとした記憶がある。

待つこと一週間。空港から連絡が入った。荷物が出て来た、今、成田にある、と言う。「宅配便でお送りすることもできます」と言われたが、とんでもない!「今から取りに行きます!」と、即、答えた。もう誰の手に委ねることも恐ろしい。大切な楽譜をこの手に取り戻さなければ!

かくして成田で再会した私のmaleta - スーツケース。目印「MEGUMI」の文字も間違いない。案の定、鍵にはこじ開けられた形跡がある。おそるおそるスーツケース本体を開けてみると…中身はすべて無事だった!!モンポウの楽譜もグラナドスの楽譜も何事も無かったかのように収まっている。音楽と無関係の人間にとって、楽譜は、意味不明な記号だらけの大型本にすぎなかった、ということか。

ベルリンの壁崩壊前、まだソ連の時代の航空会社。モスクワでの乗り換えはかなりスリリング、というよりルーズ。機内食の怪しいキャビア、お肉はゴムかと思うほど硬かった。私を含め20名ほどの荷物がモスクワ空港の隅っこに放られていたそうだ。「放られていてよかったです。もしも東欧圏行きの便に積まれていたら、戻ってきません」と、成田空港の担当者が言っていた。ハァ…。

その楽譜たちが、長い年月、歌うことを支えてくれた。今、この文章を書いていてもゾッとする。ホントにあの時、戻ってきてくれてよかったなぁ。。。

ご来聴をお待ちしています♪


ナタリア・グラナドスさんご夫妻にサインをいただいた楽譜
七夕とロスバゲ_e0172134_14062700.jpg


# by Megumi_Tani | 2023-07-09 23:16 | スペイン歌曲

水無月とモンポウと

6月30日は和菓子「水無月」の日。京都での学生時代、大家さんのおばあちゃんが毎年ごちそうしてくれた。もしかすると昔は芸者さん?とつい尋ねたくなるほど、粋で美人でカッコいいおばあちゃん。「あんたら、今日は水無月の日ぇ~」という声が今も聞こえるようだ。


そして6月30日は、もうひとつ大切な日。フェデリコ・モンポウのご命日だ。36年。時が流れた。モンポウのピアノ作品をモンポウ自らが演奏したCDを初めて見つけたときは、夢か!と狂喜乱舞する思いだった。今は、YouTubeでいつでも気軽に聴ける。ありがたくも贅沢な時代。

内気、繊細、寡黙…モンポウといえば、そんなイメージがある。しかし残された資料や映像を見ると、意外にお茶目で人懐っこい人だったのでは、と思う。カルメン・ブラーボという唯一無二の伴侶、理解者にめぐり会い、モンポウの魂は大きく安堵したに違いない。今はモンジュイックの丘にふたり並んで眠っている。

モンポウの誕生日のブログでご紹介したこちらの映像。あらためて視ると、やはりみどころ満載!再度アップします。長いので、今回はチェックポイントを挙げてみました。お役立てください。


8:45頃~  グエル公園
9:15頃~  パリへ
14:55頃~  バルセロナ散歩
20:20頃~  動乱のバルセロナ
22:30頃~  若きフェデリコとカルメン
26:40頃~ 「君の上にはただ花ばかり」オーケストラ版(歌:ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス)
30:00頃~  カルメン・ブラーボ語る
34:30頃~ 「ベッケルの詩による歌曲集」ピアノ:モンポウ、歌:カルメン・ブスタマンテ
38:17頃~ 「魂の歌」合唱版
43:30頃~  サンティアゴ・デ・コンポステーラ講習会
44:55頃~  ギター作品
48:00頃~  宗教曲
51:17頃~  ゴシック地区を歩く姿
52:30頃~  左手のための変奏曲を弾くモンポウ

9月10日リサイタルでは、ヒメネスの詩による「牧歌」、モンポウ自身の詩による「雪」、親友ジャネスの詩による名歌「君の上にはただ花ばかり」を演奏します。浦壁信二さんのピアノもお楽しみに!

# by Megumi_Tani | 2023-07-01 00:39 | リサイタル

スペイン歌曲のスペシャリスト♪谷めぐみのブログです


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