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『J:ビヨンド・フラメンコ』   

2018年お正月の〆は、カルロス・サウラ監督『J:ビヨンド・フラメンコ』。昨年秋から公開されていた作品だ。あたかも動く絵画のような極彩色の画面から、素朴な田舎のホタ、狂おしい恋のホタ、祭りのホタ、別れのホタ etc。多種多彩な「ホタ」が繰り出される。
豪華絢爛、美麗奔放、百花繚乱…。



踊り手たちの足さばきが素晴らしい!「目は口ほどにものを言い」ならぬ「足は口ほどにものを言い」だ。インぺリオ・アルヘンティーナが踊る姿、内戦の記録映像もさりげなく盛り込まれていた。圧巻!と絶賛したいところだが、いかに美しい映像とスターをそろえても、ストーリー無し、ホタの音楽と踊りだけで観客を惹きつけるのは、日本ではちょっと難しいかも。その辺りは『フラメンコ・フラメンコ』の印象とよく似ている。

英語経由のタイトル『J:ビヨンド・フラメンコ』は少々分かりにくい。スペイン語での原題は『JOTA de Saura』⇒『サウラのホタ』。そう!この映画は、アラゴン生まれのカルロス・サウラ監督によるホタ讃歌、華麗なる一夜の夢、なのかもしれない。

初めてサウラ監督の名前を知ったのは、1983年の映画『カルメン』だった。今は亡きアントニオ・ガデス、クリスティーナ・オヨス、そしてパコ・デ・ルシアも出演している。
ちょうどスペイン歌曲に出会ったばかりだった私。何度も何度も、何度も何度も映画館に足を運んだっけ…。



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by Megumi_Tani | 2018-01-08 15:23 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)

「Latido al cante~カンテへの鼓動」   

世は連休。カンタオーラ濱田吾愛さんからのご案内で、高円寺カサ・デ・エスペランサで開かれた「カンテへの鼓動~Latido al cante」に行ってきた。カンテ3名、ギター3名に加えて、この夜はスペシャルでバイレも入り、盛りだくさんのプログラム。舞台が目の前、という狭い空間。一曲、一曲が真剣勝負だ。カンテ、ギター各々の個性が時に際立ち、時に溶け合い、音の命がほとばしる。熱いライブ。あっという間に夜が更けた。

フラメンコといえばあの華やかな衣装の踊りが思い浮かぶ。日本でも驚くほど愛好家が多い。しかしフラメンコは踊りだけではない。フラメンコの核を成すのは歌であり、ギターである。フラメンコの歌い手のことをカンタオール(男性)、カンタオーラ(女性)、彼らが歌う歌をカンテとよぶ。同じ歌い手でも、私はカンタンテであり、私たちが歌うはカント、あるいはカンシオンである。同じスペイン音楽の「歌」であっても、別個に存在する芸術だ。

ところが、当然といえば当然、そして興味深いといえば誠に興味深いことだが、まるで別のものであっても、カントとカンテの内奥には共通の何かが潜む。情熱、という言葉よりも、もっと深い何か。情(じょう)ではなく情(なさけ)、ただの熱ではなく灼熱。涙を真っ向から受けとめ、血を流し、それでも天を仰ぐ、愚直さ、哀しさ…。カンタンテもカンタオールもカンタオーラも、スタイルは違えど、嘘なく、正直に、己の真実を声に賭ける。そこには、ただのきれいごとではない、生きることへの切ない共感がある。

先日カンテ好きの方から、「お奨めの曲はありませんか?」とお尋ねを受けた。私のイチ押は、ロシオ・フラードが歌うファリャ『恋は魔術師』。「愛の悩みの歌」は何人ものカンタオーラが歌っている。ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスもテレサ・ベルガンサも歌っている。しかしこの曲に関する限り、私の中ではロシオ・フラードが一番だ。クラシックとフラメンコ、民謡、ポピュラーをかなり自由に行き来できるのもスペイン音楽の魅力である。

ファリャ『恋は魔術師』より「愛の悩みの歌」


同じ『恋は魔術師』より「鬼火の踊り」
アントニオ・ガデス×クリスティーナ・オヨス×ロシオ・フラード


こんな映像も見つけました。1分45秒あたりから、ロシオ・フラードが歌っています。


ちなみに、「スペインといばフラメンコですけど、谷さん、舞台で踊るんですか?」と聞かれることもあります。私は踊りません。でも、踊りたくなることはあります! 

by Megumi_Tani | 2015-05-05 23:49 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)

『フラメンコ・フラメンコ』   

カルロス・サウラ監督の映画『フラメンコ・フラメンコ』を観た。一幅の絵画を思わせるスクリーン、そこにカンテ(歌)、バイレ(踊り)、ギターが溶け合い、グラナドスが愛したゴヤの絵の世界が次々と繰り広げられていく。愛と裏切り、熱情とと絶望、誇りと自虐、哀しみと笑い…。パコ・デ・ルシアが弾いている!スペイン歌曲に出会うはるか前、ラジオからたまたま聞こえてきたスーパーギタートリオ『Friday Night in San Francisco』(1980)に度肝を抜かれて以来、私のスペイン・ミーハー熱の原点にパコがいる。おじさんというより、おじいさんの域に入ったパコの、ゆったりとくつろいだ雰囲気。カッコいいなぁ。

サウラ監督の日本デビュー作『カルメン』が1983年、『恋は魔術師』は1985年の作品というから、懐かしい。『バルセロナ物語』のアントニオ・ガデスが『カルメン』では、ホセにあたる役柄を演じていた。音楽はパコ・デ・ルシア。オペラと現代劇が一体化した凝った作りが斬新だった。主演女優さんはイマイチだったけど…。『恋は魔術師』は、ガデスとクリスティーナ・オヨスの名コンビ!燃えさかる炎の前で踊るオヨスの姿が今でもはっきり目に浮かぶ。

さて肝心の『フラメンコ・フラメンコ』は、といえば、とにかく美しい。現れては消えるマハの面影、さまようマホの苦悩、夢かうつつか…。迫力もある、渋さもある、しかし何より、美しい。めくるめく華麗な魅惑と官能の世界~何だか安いコピー(^^;; サウラ監督ごめんなさい。ただ、そこが、ウ~ン、どうなのかな?「美しさを讃えよう」とか「美しきダンスと音楽の饗宴」などという文言がチラシに踊っているから、美しい、と感じさせたのは成功の証?…と、なんとなく絶賛できないのが、残念。

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by Megumi_Tani | 2012-07-04 08:30 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)