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「声の力を学ぶ」連続講座 第11回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第11回を聴講させていただいた。

今回の講師は、神経内科医の岩田誠先生。「声が言葉になるまで-知性の誕生ー」と題し、動物の進化と声と言葉との関係、芸術と声と言葉との関係、知性の誕生と声と言葉との関係etcについて、ユーモアを交えて、たっぷりお話しくださった。

動物の進化史上、自ら子育てをする鳥類、哺乳類に至って、初めて、声が必要になった。ネアンデルタール人は声を言葉に出来ていた。死者を葬ったが副葬品はない。石器を作ったが骨器はない。道具は単純なハンド・アックスで、これが何十万年もの間変わらなかった。特筆すべきは、障害者介護をしていた痕跡があることだ。と、ここで突然、スペインの地名が出て来た。「Sim de Huesos」その名も「骨の穴」!ここで見つかった43万年前のネアンデルタール人の頭蓋には、仲間殺しをした痕があるという。ハァ…史上初の仲間殺しが証明された地がスペインとは(^^;;

障害者介護と仲間殺し、つまり、利他行為と故殺。いずれもヒト族以外の動物にはほとんど見られない行為だ。種の保存という進化の原則からみればマイナス効果を及ぼすこの両行為を、なぜヒト族は行うのか?そこには、声と言葉による情動的コミュニケーションが関与しているのではないか?

言語機能の本質は模倣にある。ヒトの赤ちゃんは生後数日で母親の声を認識し、4か月児になると母親のオウム返しを模倣する。いくつものプロセスを経て、概ね2歳で二語文での発話が可能になる。このような言語能力の発達は描画能力の発達と深い関係がある。言葉の発達とともに描画の対象が広がりをみせ、文章能力の発達とともに状況図を描くことが出来るようになり、やがて、概念的リアリズムを以って空間的位置関係を正確に描くようになる。

では、ヒトはいつから描き始めたのか?と、ここで再びスペイン登場!(故殺の痕跡だけじゃなくてよかった(^^;; )最古とされるのは、4万800年前のエル・カスティ-ジョ洞窟壁画だ。ほかにもスペインのアルタミラエル・カスティ-ジョラ・パシエガ、フランスのショーヴェ等に、貴重な洞窟壁画が残されている。

「洞窟」は日常生活の場ではなかった。ヒトは、非日常の特別な場としての洞窟に入り、力強い大型動物や呪術師と思しきヒトの姿を描いた。絵が描かれた洞窟は音響効果が高く、特にバリトンやバスの声がよく響く。骨製、木製の楽器も作られた。暗い洞窟、仄かな明かり、地鳴りのように低く響く声、素朴な楽器の音色、呪い舞うヒト…。絵画洞窟の中では、総合アートによる「祈り」が行われていた。芸術、すなわち絵画、音楽、舞踏、歌謡等々は、ヒトの脳のみに可能な活動だ。芸術行為とは「祈り」の表現だったのではないか?芸術と医療と祈りはひとつだったのではないか?

最後に「声が言葉になって可能になったこと」として、以下の5つを挙げられた。
1.過去の記憶と未来の展望
2.不可解な現象の説明
3.社会的な関係の分析
4.自己存在理由の認識、確認
5.他者の存在の理由づけ

声というものの原初から芸術、知性の誕生まで!
とても興味深く学ばせていただきました。

★「声の力講座」第1回から第10回のレポートは、こちらのページでご覧になれます。

エル・カスティ-ジョ洞窟壁画



第27回谷めぐみスペイン歌曲リサイタル『スペイン浪漫』
2019年5月19日(日)午後2時開演
会場:Hakuju Hall
チケット好評発売中!
詳細は、HPをご覧ください⇒『スペイン浪漫Ⅳ
ご来聴をお待ちしています♪


by Megumi_Tani | 2019-02-15 22:51 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第10回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第10回を聴講させていただいた。

今回の講師は、音楽・音声ジャーナリストとして、講演、執筆等で幅広くご活躍の山崎広子さん。「人生を変える「声」の力」と題し、声とは何か、心身への声の影響力とは、声と社会や歴史との関わりetc、「声という音」について様々な角度からお話しくださった。

あまりにも普通に、何気なく使っている「声」について、あらためて考えたことがあるだろうか?気道に異物が入らないようにするための膜である声帯を発音源とし、二酸化炭素を排出するための呼気をエネルギーに使い、空気の通り道である声道を共鳴させ、消化器の一部である口腔、歯、舌、唇によって構音される…それが「声」。声専用、発声専用の器官などというものは人体のどこにも無い。それなのに当然のように存在し、人間に大いなる影響を与える「声」。一体「声」とは、何ぞや???昨今では、聴覚と脳の研究が進展し(聴覚心理学、認知神経科学etc)、その謎の解明が進みつつあるそうだ。

「声」は顕在意識と潜在意識の両方に働きかける。会話や演説で、内容として顕在意識に残るのは1、2割程度であり、内容よりも「声という音」に含まれる無数の要素が圧倒的に人の感情を左右する。「声」は、時として言葉よりも雄弁に何かを語る。

目は自らの意志で閉じて情報をシャットアウトすることが出来るが、耳にはそれが出来ない。耳がキャッチした音情報はすべて無意識のうちに脳に取りこまれ、人間は無自覚のままその影響を受ける。そんな「声」は、古代シャーマニズムにおける儀式や霊との交信、キリスト教における教会建築や聖歌、はたまた戦意高揚のためのプロパガンダ等に利用されてきた。ラジオ、テレビ、映画等、音声マスメディアの発達も見逃せない。「声」の影響力が歴史を作った、といえるかもしれない。ちなみに、あのクレオパトラも絶世の美女ではなく、絶世の「声」の持ち主だったそうな。

日本人の声とメンタリティーについても熱く語られた。日本人女性の声は世界一周波数が高い。これは暗黙の社会的圧力の下、作り声⇒作られ声を出すことを余儀なくされているからではないか?作られ声⇒自分が納得しない声を常に使っていると、自己肯定感が低下し、心身のストレスが増す。逆に、オーセンティック・ヴォイス:本物の声⇒自分が納得する声を使って生きることは、自己肯定感を高める。

「声」は自分の個人情報を曝け出しているようなもの。恐れず自分の声と向き合い、自分の心身が納得する「自分の本物の声」を見付け、声を生涯の味方にしましょう!と、力強く結ばれた。豊富な資料、尽きぬ話題に、アッという間の2時間だった。

ふと、ずっと昔聴いたラジオ番組が蘇った。詳細は忘れたが、「魅力的な声」について考える番組だったと思う。「絶世の声」で囁けばあらゆるものが口説き文句になる、という命題の下、俳優の細川俊之さんが、定食屋のメニューをゆっくりと読み上げて行く。「親子丼800円、鯵のフライ定食780円、カツ丼900円、オムライス650円…」最初はどこかの定食屋の店内をイメージして聴いていたが、いつの間にかそんな絵は消え失せ、ただただ柔らかく甘い細川さんの声にうっとり…。ご講義にあった通り、カツ丼だ、親子丼だという内容を越えて、細川俊之さんの「声」が圧倒的に聴く者の心を動かしていた。

ずっと前(2011年!)に、こんなブログを書いたことも思い出した。「鼻ラッパ

質問コーナーで、山根さんがAIについてお尋ねくださった。「限りなく人間の声に近づけたものが出来ても、それは人間の声とは違う」との山﨑さんのお答えに、そうだ!と、いたく共感。

初音ミク嬢なるものが現れて以来、ずっとそう考えて来た。人間の声に限りなく近いAIの声はこれからもどんどん開発されるだろう。ワ~!〇〇さんの声そっくり!と誰もが歓声を上げる?! しかし、同じ人間でも昨日の声と今日の声と明日の声は同じではない。朝と夜でも声は違う。どこにいるか、誰と一緒にいるかでも出る声が違う。歌い手の立場で言えば、昨年の声と今年の声、あの作品を歌う時の声とこの作品を歌う時の声は違う。同じ作品を歌っていても昨日と今日では歌い方はが違い、そこで響く声も違う。それはその日の体調や気分だけで決まるものではない。説明のつかない「何か」が閃いたり、閃かなかったり、様々に変化するからだ。ましてコンサートとなれば、共演者、お客様、会場etc、様々な要素が加わり、溶け合い、昇華され、歌い手本人にも予測のつかない「声という音の世界」が生まれる。そこは計算を越えた領域。機械のように正確無比なものではない。揺らぎある、不確実な世界。しかしそこには、声の持ち主にも計り知れない無限の未知の世界が広がっている。

「この講座、深いですね」隣の席の方が、しみじみ呟かれた。
ご縁に感謝!

★第1回から第9回のレポートは、こちらのページでご覧になれます。

★伝説の番組NHK『映像の世紀』が、東京フィルハーモニー交響楽団、加古隆さんのピアノ、そして山根基世さんのナレーション!で蘇ります。
詳細はこちら⇒『NHKスペシャル映像の世紀コンサート


2014年、話題になった山﨑広子さんの著書
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by Megumi_Tani | 2019-01-11 22:50 | 講座/セミナー | Comments(4)

「声の力を学ぶ」連続講座 第9回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第9回を聴講させていただいた。

★第1回から第8回のレポートは、こちらのページでご覧になれます。
山根基世「声の力」講座

今回の講師は、詩人、俳人、随筆家、翻訳家としてご活躍のアーサー・ビナードさん。
タイトルは「ケモノの声が出せるか?日本語と英語の源について」。アメリカ、ミシガン州に生まれ、日本で学び、活動するようになられたご自身の歩み、他言語との出会い、他言語で考える楽しさ、アルファベット「R」が表わすもの、翻訳とは何か、言葉とは何か、etc,etc。ユーモアたっぷりのお話は尽きるところがない。最後には、自ら制作された貴重な「紙芝居」もご披露くださり、素敵な二時間が終了した。

アーサーさんの綴りは「Arthur」。意味は熊。「熊五郎ですね」などと笑いを取っておられたが、Arthur に入っているアルファベット「R」は、本来とても勢いのある、強烈な発音を表わす。「Arthur」にはその強烈な「R」が2つもある。日本語で言うちょっと息が抜けた感じの「ああさあ」は、ずい分印象が違うそうだ。関連して、日本語のラリルレロは「R」か「L」か、という問題もある。どちらかといえば「R」??しかし厳密には、そのどちらでもない。「R」は迫力、「L」は優しさ。両者は対極にある。そもそも「R」と「L」は別物なのだ。

絵本『はらぺこあおむし』を題材に、翻訳の真髄についても語られた。翻訳とは、単なる言葉の置き換えではない。言葉の奥にあるものを掘り起こし、掘り下げ、深い根底を確認し、創作すること。そのためには、言葉の奥にある力学を知らねばならない。

アーサーさんは数多くの絵本の翻訳を手掛けておられる。講座後半には、まずそのなかのひとつ、世界的大ヒット曲「What a wouderful word」の歌詞をアーサーさんが翻訳した『すばらしい みんな』を、絵とともに、読み語ってくださった。
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続いて、昆虫語という我々人間には分からない言葉による絵本「なすずこのっぺ?」の読み語り。単語の意味はチンプンカンプン、まったく分からない。しかしそれでも、アーサーさんが深い抑揚をつけて読み、語る声に、会場全体が惹きこまれていく。この絵本に込められたアーサーさんの熱い思いが、真っ直ぐに伝わって来た。
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スペイン語の歌に携わる者として、今回の講座はとても身近に感じられるお話だった。
「R」と「L」は、外国語の歌を歌う日本人にとって永遠の課題だ。「R」と「L」は別物だと言われても、我々には、そもそも別物と捉える感覚が無い。二種類のラリルレロをいかに明確に区別して発音するか、という本来ありえない目的のために、日本語脳には刷り込まれていない舌の動きと悪戦苦闘するハメになる。翻訳についてのお話には、いたく共感。まさに膝を打つ思い。昆虫語による読み語りには、「あぁ、スペイン語の歌を聴いているお客様の大半は、こんな感じなのかなぁ」と、あらためて実感。意味がダイレクトに分からない。でも、何とかして作品にアプローチしようと耳と感性を研ぎ澄ます感覚。そして……アーサーさんの昆虫語による読み語りは、たしかに私達の心に届いた。その根底には、アーサーさんのこの作品への愛がある。そして「声の力」がある。

「日本に来て、母国アメリカを客観視することで、逆にアメリカの中に入り込むことが出来た」とも語っておられた。外国文化に関わっておられる方々の中には、共感される向きも多いのではないだろうか。私も、スペインという国に深く触れることで、日本という国に対するより客観的な視線が養われたような気がする。

講座の締めに、山根さんが紹介されたこの本。鋭いです。
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by Megumi_Tani | 2018-12-15 22:40 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第8回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第8回を聴講させていただいた。第1回」「第2回第3回」「第4回」「第5回 」「第6回」「第7回
(谷めぐみ登壇の様子が山根さんのHPで紹介されています声の力を学ぶ 連続講座

今回の講師は、森一弘司教様。「いのちとしての言葉(ダバール)聖書の世界から」と題し、聖書で語られる「力・光・命」としての言葉について、ご自身の体験を交えながら優しくお話しくださった。

「ダバール」とは、ヘブライ語。「ことば」と訳されるそうだ。ラテン語における己を表現/主張するための「ことば」、ギリシャ語における思索/伝えるための「ことば」、そして日本語における言の端としての「ことば」、「ダバール」はそのいずれでもない。「ことば」を発する主体のありよう、そこに軸足をおく。

「ことば」を発する主体が豊かであたたかければ、その人の発する「ことば」は受け取る人を豊かにあたためる。主体-being-と主体が触れ合い、響き合う。そこに命、力、光が生まれる。その人の存在のありようから発せられる「ことば」、それが「ダバール」。

トリイ・ヘイデン著「檻のなかの子 憎悪にとらわれた少年の物語」を例に、ことばを発する主体の安定、豊かさ、誠実さについても説かれた。周りの世界が不安定で信じられないことから、魂の奥底に深い怒り、悲しみ、憎しみを抱え込んだ少年。ヘイデンがその彼を信じ、彼の痛みに共感し、誠実に忍耐強く関わりつづけることで、少年は少しずつ心を開いていく。真に共感してくれる人に出会えたとき、人は初めて孤立感から抜け出せる。共感から発せられることばは相手を支え、生かす。

「ことば」は主体の心のありようそのもの。主体の心のありようを載せている。
「ことば」は、力、光、命であるとする聖書の世界の『ことば』に対する意味づけは、「ことば」を発する主体の豊かさ、あたたかさを前提にしたもの、と結ばれた。

淡々と語られる、森司教様のお声、そのお話のありように共鳴し、知らず知らずのうちに、こちらのありようがあたたかく揺すぶられる。まさに、ダバールのあたたかい光をいただいた90分だった。

「ダバール、いいですね…」いつも隣のお席にいらっしゃる方と思わず笑顔でうなずき合った。元々の意味は「内側から吹き出してくる息吹き」。そんな歌が歌えたらいいな、と思う。
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by Megumi_Tani | 2018-11-09 22:41 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第7回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第7回を聴講させていただいた。
第1回」「第2回第3回」「第4回」「第5回 」「第6回

今回の講師は、テレビでもお馴染み、言語学者、杏林大学外国語学部教授、政策研究大学院大学客員教授の金田一秀穂先生。「言葉の声」と題し、言葉と声との関係、コミュニケーションにおける声の力について、幅広く、ユーモアたっぷりにお話しくださった。

AI時代を迎え、高度な翻訳機が登場し、いずれ外国語教師や通訳は不要になる、とも言われている。しかし機械が通じさせているのは「字幕」になっている部分。声の力こそがコミュニケーションの力になる。

記号としての言語は考えるための道具。20万年前に登場したホモ・サピエンスが肉体的に優位だったネアンデルタール人を越えられた、その鍵は、記号言語を獲得できたことだと推察される。生存するための強力な武器として記号言語を得た彼らは、知識を共有し、世界中で暮らせるようになった。「声」は、そのホモ・サピエンスの段階のものであるから普遍的に感動できる。外国語の歌で歌詞の意味が分からなくても歌に感動するのは何故か?朗々と響きわたるコーランの声に意味も分からないまま心震えるのは何故か?「声」こそが人の心を動かす。15万年間、我々はそうして生きてきた。

ここで、私は嬉しくなった。リサイタルやコンサートでスペイン歌曲をスペイン語で歌う。スペイン語が分かるお客様はごく少数だから、大半のお客様には歌詞の意味がダイレクトに伝わらない。歌詞大意をお渡しし、曲間にトークを入れ、と、出来る限りの努力をさせていただく。が、それでも歌の中身をそっくりそのままお伝えできるわけではない。この見えない壁をどうやって乗り越えるか…。いつの頃からか、その壁をひとつ上の次元で越えることが目標になった。言葉ウンヌンを越えたところで歌を、音楽を共有、共感する。そんな世界がきっとある、と。
なるほど!私が目指しているのは、ホモ・サピエンス的歌の境地だったのだ169.png

ご講演の最後には、日本語教育における「声」にも触れられた。日本語における「声」の価値は低い。書くことに拘る傾向が強く、話す、聞く教育が著しく遅れている。2010年の映画「英国王のスピーチ」のようなことは日本では考えられない。気持ちを通じさせるのは「声」を伴う話し言葉だ。母親が生まれたばかりの赤ちゃんに話しかける、その「いい声」は誰にでもあるもの。「声の力」をもっと知り、もっと大切にしよう、と結ばれた。

「声」の普遍性、「声」の力、歌い手の私も大いに勇気づけられるお話でした。元気が出ます。ありがとうございました!



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お申込み受付中!
10月30日(火)午後6時30分
どなたでも参加できます。入場無料・要事前お申込み
お申し込みはこちら ⇒ 2018年10月30日のイベント



by Megumi_Tani | 2018-10-11 23:08 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第6回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第6回を聴講させていただいた。
第1回」「第2回第3回」「第4回」「第5回

今回の講師は、東京大学名誉教授、北海道大学名誉教授、東大高齢社会総合研究機構特任研究員の伊福部達先生 福祉工学のパイオニアとして、視覚や聴覚に障害がある人のための支援ツールの研究に長年携わって来られた。「聴くを助ける」「話すを助ける」「読むを助ける」をテーマに次々と画期的な機器を開発された、その経緯やご苦労、隠れたエピソード等々を、時間いっぱいユーモをふんだんに交えてお話しくださった。

聴覚の起源は、魚の横腹表面にある「側線器」という毛、一種の触覚センサーだそうだ。触覚と聴覚は密につながっているらしい。そう言えば、「柔らかい声」「硬い声」等、触った感じ⇒触感で声を形容することはよくある。「ビロードのような声」これも、ビロードに触れた時のあの独特の触感とゴージャス感を併せて形容している。似た布でも「べロアのような声」とは言わないし、着心地はよくても「木綿のような声」「麻のような声」は聞いたことがない。「冷たい声」「冷ややかな声」「ぬくもりのある声」「熱を帯びた声」「湿った声」「濡れた声」「温かみのある声」、「ねっとりした声」なんていうのもある。あらためて考えてみると、たしかに声の形容には「触ってみた感じ」の表現が沢山ある。そう言えば以前、私の声に対して、濱田滋郎先生が「声の熱さ」と表現してくださったことがあった。

伊福部達先生の別のお顔。
その1-先生はNHK緊急地震速報チャイム音の作曲者だった!
その2-先生は映画『ゴジラ』の音楽を作曲した伊福部昭氏の甥御さんだった!
緊急地震速報チャイム音作曲の際、叔父上の音楽を参考 にされたそうだ。とても大事だけれど、出来れば鳴ってほしくない、あの音…。

伊福部先生は道産子だ。今回の北海道胆振東部地震 の震源地にほど近い平取町のご出身。子どもの頃に聴いたアイヌ音楽が記憶に残っておられるそうだ。北海道のイントネーションたっぷりに語られるお話を聴きながら、一日も早い復興、復旧を祈らずにいられなかった。

「声」をキーワードに、幅広いジャンルの超スペシャリストがご講義くださるこの講座。歌い手の身にもとても勉強になる。貴重な機会に感謝!

「緊急地震速報」作曲の際、参考にされた曲
伊福部昭作曲「シンフォニア・タプカーラ」第3楽章


こんな「ゴジラ」は、いかがでしょう(^^)



by Megumi_Tani | 2018-09-13 23:47 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第5回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第5回を聴講させていただいた。
第1回」「第2回第3回」「第4回

今回の講師は、詩人の吉増剛造演題は『声のマ(魔)』。このタイトルは、2016年東京国立近代美術館で開催された「声ノマ 全身詩人展」に由来するとのこと。「声ノマ」がなぜ「声のマ(魔)」になったのか、「マ」とは、真であり、間であり、舞であり、魔であり…。片仮名「マ」を導入に講義が始まった。

自ら録音した「声ノート」を聞くとき、22歳の己の声に恐怖を感じるのはなぜか?自ら集めた詩人、歌人、思想家たちの肉声を繰り返し繰り返し聞くことで、「歌の底をながれているらしい流れを聞き」、「歌というものの不思議を聞く」。声とは何か?声を聞くとは何を聞くことなのか?講義の途中でも、「あ、この声には〇〇な想いがあるんだ。今、気が付いた」と、何度も呟かれる。

機材の進化によって、残せないはずの声が残せたり、聞けないはずの声が聞けたりするようになった。講義のなかで聞かせていただいた貴重な肉声の数々。折口信夫、堀口大學、柳田國男etc。与謝野晶子は大柄だが声は小さい人だったそうだ。歌人たちが自作の歌を詠む声、その「間」は「裂断」、裂断は「刹那」、その刹那を引き延ばすところに精霊が降りてくる…。「黙」と書いて「しじま」、「黙の深み」「黙の言葉」…。

講義は自由自在に、しかし、声の「魔」をじっと凝視しながら進んでいく。「声の底の声を聞く」と核心を突き、「世界の割れ目をどのようにつかまえ、どのように自分の世界にしていくか」と鼓舞し、「コンピューターも発達するが、人間はもっともっと深くなる」と力強く…。

資料として配布されたA3の紙は、手書きの文字でびっしりと埋められていた。帰宅して、夜、これを丁寧に読み込んでみた。自由自在に、と感じられた講義の内容が、実は詳細に書き記されていたことに驚く。文字の大小、行間、細かく書き込まれたメモ等々に、講義の合間にふと浮かべられた表情や眼差しが蘇る。独特の美しい文字で書かれた文章が、声で語られる言葉とはまた違う何かを伝えてくれていることも興味深い。圧倒的な存在感とエネルギー。頭脳と感受性をごりごりマッサージされたような、刺激的な時間。

この拙いブログでは、とても表現しきれない世界です。気になった方は、8月11日から始まるこちらの展覧会へどうぞ。涯ノ詩聲 詩人吉増剛造展 期間中、8月26日には、山根基世さんとのコンビで、ワークショップ「声の力」が開催されます。

最後の質問コーナーでの山根さんとのやり取りの中で:
「声は人間を探る新しい鉱脈、人間を知る大きな手掛かりになりうる」
そう!まさに「声の力」です。


by Megumi_Tani | 2018-08-10 22:35 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力」講師を務めさせていただきました   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第4回が開催されました。第1回」「第2回」「第3回

今回は「歌における声の力~スペイン歌曲が教えてくれたもの」と題し、私、谷めぐみが講師を務めさせていただきました。
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中学、高校時代の思い出、スペイン歌曲との出会い、バルセロナ修業時代のエピソード、これまでのリサイタル等々「声」とともに歩んで来た道のりをお話した後、所謂ステレオタイプのスペインとはまるで趣の異なるスペイン歌曲を2曲ご紹介。せっかくの機会なので、スペイン語の発音にもチャレンジ!受講生の皆さん、とてもノリがいい。5月の曽我大介さんのお話を受けて、カルメン〈ハバネラ(恋は野の鳥)〉と元歌〈エル・アレグリート〉の聴き較べもお楽しみいただきました。

後半は、「声」とは、「歌」とは、「歌い手」とは、「歌詞」とは、「言語」とは、「暗譜」とは等々、私自身がこれまでに感じて来たこと、学んできたことを、様々な角度から、ざっくばらんにお話させていただきました。「声と人間力」ということで、2011年春のドミンゴの来日 もご紹介。最後は、スペイン歌曲への感謝とともに「鳥の歌」をお聴きいただき、講演終了。

質問コーナーに移ると、まず山根さんが率直な感想を聞かせてくださいました。この講座で皆さんが学ばれている「朗読」と「歌」には、多くの共通点があるそうです。百人会議の間で「さくら」を歌った時のエピソードを綴った拙文をちゃあんと読んでくださっていたことに感激!お忙しいなか、駆けつけてくださった東大大学院教授・言語脳科学者、酒井邦嘉先生の外国語と脳についてのお話には、みんなでフムフム。 受講生さんからも質問が続き、和気藹々の120分があっという間に過ぎました。

講座の最後に、来賓のお一人が語ってくださった「鳥の歌」への感想……嬉しかったな。

山根さん、酒井先生、スタッフの皆様、そしてご一緒させていただいた皆々様、ありがとうございました。
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by Megumi_Tani | 2018-07-12 23:32 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第3回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第3回を聴講させていただいた。

今回の講師は、舞台の作・演出、映画監督、小説家、エッセイスト、テレビ番組の司会、ラジオ・パーソナリティー、脚本家等々として幅広くご活躍の鴻上尚史さん。「声で遊ぶ」と題し、声へのアプローチの方法、呼吸法、発声法、声を使った表現などをテーマに、実技を交え、具体的にご指導くださった。

冒頭から時事ネタを絡めた巧みな話術で、会場全体がぐいぐい惹きつけられる。鴻上さんのリードの下、長いブレスに挑戦したり、鼻や口や頭に手を当てて声の響きの変化を感じたり、ア~~~と声のストレッチをしたり…。受講生の皆さんもノリノリ。和気あいあいのひとときが過ぎた。

「声」をトータルに捉え、とことん客観視ならぬ客観聴、分析し、実践を踏まえ、よく整理されたお話は、歌い手の私にとってもとても興味深く、勉強になる。そうですよね!と甚く共感するポイントも随所に。人間として歌いたい、という自分自身の願いもあらためて実感。充実の講座でした。

7月、第4回は、僭越ながら谷めぐみが登壇させていただきます。
第1回:脳に秘められた声の力
第2回:オペラ歌手の声~大観客とオーケストラを圧倒する力

さて、今週の土曜日夜、山根基世さんが語りを務められる『映像の世紀プレミアム第9集~独裁者3人の“狂気”』が放映されます。あのクールで深みのある山根さんのお声!楽しみです。
NHKBS『映像の世紀プレミアム第9集~独裁者3人の“狂気”
6月16日(土)午後7時30分~午後9時

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by Megumi_Tani | 2018-06-14 23:08 | 講座/セミナー | Comments(0)

「声の力を学ぶ」連続講座 第2回   

元NHKアナウンサー、山根基世さんが主宰される連続講座『声の力を学ぶ』第2回を聴講させていただいた。
第1回の様子は、こちら ⇒ 声の力を学ぶ』連続講座 第1回

今回の講師は、指揮者の曽我大介さん。「オペラ歌手の声~大観客とオーケストラを圧倒する力」と題し、オペラ史において必要とされてきた声や技巧の変遷、オペラの内容の変化と声との関係、発声の課題、曽我大介が選ぶオペラ・アリア・ベストテン!etc。オペラにおける声の力を様々な角度からお話しくださった。全オーケストラを越えて歌手の声が聞こえる理由を解明するべく、発声法を変えたご自身の声をスペクトラム解析する!という離れ業も!

ご一緒させていただいた東大大学院教授、言語脳科学者の酒井邦嘉先生は、大の音楽好きと伺っている。曽我先生のお話、数々の名演映像に、酒井先生のワクワク!が伝わってくるようで、私まで嬉しくなった。質問コーナーでは、山根さんのリクエストに応えて、曽我先生が再びご自分の声をその場でスペクトラム解析!興味深い。

私はスペイン歌曲が専門だ。こうして同じ声楽でも異なるジャンルである「オペラ」を舞台に「声」にアプローチすると、私自身が求める声の姿、在り様が客観的にみえてくる。視野を広げることの大切さ。声とは何か?声は何を表わすのか?生きることと声のかかわりは?…。朗読を学ばれた方々が、朗読というジャンルを越え、「声」そのものについて広く深く学ばれるこの講座は本当に素晴らしい。

「マイクを通した声とオペラの声」のコーナーで紹介されたのは、あの「Barcelona」!!!
曽我先生もフレディ-・マーキュリーの大ファンだそうです(^^)

モンジュイックの丘でのライブ映像



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by Megumi_Tani | 2018-05-11 22:58 | 講座/セミナー | Comments(0)